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“防大名物”卒業式の「帽子投げ」の後に行われる大事なこと

その64 防衛大学校を舞台にした人気コミックがドラマ化

 人気コミック『あおざくら防衛大学校物語』(少年サンデーコミックス・小学館)を原作としたドラマが、10月の終わりからMBSテレビで放映されます。過去にドラマ化された有川浩さんの小説『空飛ぶ広報室』(幻冬舎)では航空自衛隊の広報官が主人公でした。美しいブルーインパルスの飛行訓練場面に「キャアキャア」したことを思い出します。劇中に登場する戦闘機がペン尻に乗ったボールペンを探し歩いて手に入れるほど夢中で観た作品でした。東日本大震災前までは自衛隊員を主人公としたドラマはありませんでしたが、自衛隊の好感度が高くなりドラマやアニメ、映画に自衛隊が描かれることが増えました。  自衛隊を扱った作品では航空機や戦車、艦艇など迫力のある画像が期待でき、放映前からワクワクしてしまいます。この度ドラマ化される『あおざくら防衛大学校物語』の原作コミックは防衛大学校の学生が主人公のお話しですが、フィクションですから、実際の防衛大学校内とは違う描写も出てきます。そのため、実際の防衛大学校の学校長は一定の評価をしつつも、「事実と異なるところも多く、影響の大きなドラマ化には無条件で賛成ではない」という立場を表明しています。しかし、防衛大学校に似た別の「架空の学校」を扱ったファンタジーとして楽しむといいかなと思います。

防衛大学校の「学費」はタダで「給料」までもらえるという誤解

 防衛大学校のイメージとしては「学費がタダのうえ、衣食住の心配もなく、『大卒』の資格が得られるばかりか、給料までもらえる」と考えている人が多いようです。防衛大学校を目指す学生さんやその親御さんもそういう認識の人が多いと思いますが、実際は似て非なるものです。簡略化されて普通は「防衛大学」と呼ばれることが多く大学と同一視されているかもしれませんが、防衛大学校は「大学校」であり大学ではありません。大学校なので一般の大学とは異なるルールで運用されているのです。
防大採用試験要項

防衛大学校の公式ページからもダウンロードできる2020年度(第68期)入校希望者向けの「学生受験要項」。「一般」枠の受付は9月30日必着となっている

 まず、いわゆる入学者選抜ですが、これを入学試験とは言いません。受験要項を見ていただければわかりますが、防衛省が行う「採用試験」になります。採用されれば防衛省職員となり、自衛隊法の定める自衛隊員の身分になります。そのうえで、国からの命令として「防衛大学校」への着校が命じられ、そこで学業および訓練を「任務」として遂行します。  任務として学業を命じられるため、防衛大学校では授業料が発生しません。「卒業後自衛官に自動的になれる大学生」になるわけではなく、自衛隊員となり日本国自衛隊の指揮命令系統に組み込まれているのです。防衛省においては、防衛大学校に配属されている自衛隊員を「学生」と称します(防衛医科大学校も同様)。世間の学生と同じ「学生」とは違います。ただし、武装して戦闘に従事する要員である「自衛官」の任命は受けていませんので、有事に至っても防衛大学校の学生が戦闘を行うことはありません。  防衛大学校の学生は月額約10万円の給与が支給されます(もちろんここから税金や社会保障費が天引きされるのは一般の会社員と変わりません)。これは彼ら彼女らの任務に対する対価です。一般の「大学」に通う学生と並べて、普通に大学生活を送りながらお金がもらえるなんて羨ましい……と考えるのはとんだ筋違いなのです。  防衛大学校の学生は給与を与えられ、防衛省職員である自衛隊員の任務として学業・訓練に従事しているため、授業のある時間は授業に出ることが彼ら彼女らの任務になります。一般の大学生のように授業をサボったり、うっかり寝坊をして遅刻をすると、任務を放棄したことになるので、当然、自衛隊のなかでの処罰の対象となります。
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「クラブ活動」も任務の一環
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自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う

日本の安全保障を担う自衛隊員が、理不尽な環境で日々の激務に耐え忍んでいる……

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