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コメダ珈琲で、すべらない話をさせられすべり続けた話――patoの「おっさんは二度死ぬ」<第72話>

おっさんが求めていたものは結局わからなかった

 そもそもおしっこ持ち帰りオプションってなんだよ。そんなのあんの。どうやって持ち帰るの。ビンとかにいれるの。っていうか、軽減税率って食料品だけだろ、持ち帰ったおしっこをどうするつもりなんだよ。っていうか、ほとんどの風俗店が消費税、とってないだろ。 「もう、どうするつもりだったんでしょうね、持ち帰りおしっこ。本当にわけのわからない問い合わせでしたよ」  僕がそういうと、おっさんはこちらに目線も合わせず言ってのけた。 「飲むんだろ」  そして、またアイスコーヒーのグラスを口に運び、一呼吸おいて言った。 「飲むんだろ」  わかった。わかったから。二回言わなくていいから。おしっこを持ち帰らないことをイートイン、というかドリンクインとかいいから。 「あまり楽しくなかったなあ。ほかにないの? わけのわからない面白い話」  なんなんだ、こいつ。 「ないです」 「じゃあ帰ろうか」  こうして、僕とおっさんの訳の分からないコメダ体験は終わったのだ。 「あまり楽しくなかったな」  おっさんはそうブツブツ言いながら伝票を押し付けてきた。 「どうしても来たいって言ったのそっちだからな。付き合ってやったんだから奢ってくれよな」  そうだったっけかなあ、と思いつつ奢らされた。本当、これ自体が一番のわけのわからない話だよ。  コメダを後にする。店内のお客たちは友人と、恋人と、楽しそうに会話していた。きっとコメダとはそういうお店なのだ。 ロゴ・イラスト/マミヤ狂四郎(@mamiyak46テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。6月29日、本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)を上梓。ブログ「多目的トイレ」 twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――

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