農業生活漫画『ぼっち村』作者の市橋俊介、田舎にガチ移住でまさに崖っぷち!?
―[ぼっちぼち村]―
農業に未経験のものが、自給自足の田舎暮らしをすれば、どうなるのか――。その過酷な使命を受けたのが、“崖っぷち漫画家”の市橋俊介だ。これまで連載はほぼほぼ打ち切りor雑誌休刊。SPA!でも不条理系ギャグ漫画『アラだらけ君』を始めるが……僅か2年で終える。
そしてSPA!で再挑戦の気持ちで賭けてはじめたのが、前述の農的生活の『ぼっち村』だ。しかし、現実は厳しい。未経験者がいきなり田舎暮らしで農家に挑戦すれば、当然失敗の嵐だ。おまけにコミュ障なのか田舎が閉鎖的なのか、なかなか地域に馴染めない。過酷な自然環境も作者を襲う……。そんな七転び八起きならぬ、ずっと転びっぱなしのエッセイ漫画は、一部マニアから熱狂的な支持を得ていた。
そして12月24日、電子書籍で発売されたのが最終章『ぼっち村』3巻だ。著者いわく、全国で4人しかいない読者をもっと増やすべく、まずは第3巻のエピソードを試し読みできるので、ご覧あれ!
※Amazonの『ぼっち村』3巻表紙「なか見!検索」から試し読みできる!
さて、読みましたか? 文字数多かったですか? でも読み応えはありましたよね? そんなぼっち村ですが、現在もSPA!で『ぼっちぼち村』としてリニューアル連載中。そこではなんと、1人ぼっち、ではなくなっている!? 前作は文字通り孤軍奮闘+ワンちゃん1匹で戦っていた村長に何が起こったのか? リニューアルした理由は何なのか? 全国4人の皆さんのために市橋先生の最新インタビューをどうぞ!
――まずは第3巻の発売できた率直な感想を教えてください。
市橋俊介(以下、市橋) やっと出せたか……という思いと、なんとか発刊にこぎつけてくれた、『ぼっちぼち村』現担当に感謝している感じです。
――と、言いますと?
市橋 『ぼっち村』が終わったのは、2018年の春なんです。つまり1年半以上経って、ようやく出せたのです。遅くなったのは、やはり売れないのが大きい。紙の本として出せない不人気作品なので、前担当者は本当にやる気はなく、まったく動いてくれませんでした。
――……。同僚がなんかすいません。
市橋 2巻の時もそうでしたね。遅れに遅れて、ほぼ僕の“自主製作”に近い感じで出しました。今回も表紙デザイン、おまけページなど、全部僕が作っていますからね。……確かに売れていませんが、こんな扱いでイイでいいんですかSPA!編集部!
――……。同僚がなんかすいません(2度目)。市橋さんには酷いことをしたと、編集部も反省しております。本当にすみません!!
市橋 いやいや、こちらこそ。なんとか、どうにか、出していただけて感謝はしています。
――第3巻でとくに見てほしいのは?
市橋 そうですね……。あまり描きたくなかったんですが、やはり僕のような偏屈な変人が、田舎で全面的にうまくやっていけるわけがなく、人間トラブルについても綴った部分ですかね。元々、農業以外は大きなトラブルもなく順調な感じできた感じに描いていますが、裏では色々ありました……。そんな部分も、田舎暮らし、知らない土地に住む上でやっぱりあったんだぞ!と……。まぁ笑っていただければ幸いです。
――編集部と田舎住民に冷たくされる偏屈な変人……これ、市橋さんにも問題があるんじゃないですか?
市橋 えっ……た、たしかに問題は大いにあると思いますが、いやいやいや、SPA!の前担当たちは酷かった。完全に放置、いや無関心? 無関心ハラスメントですよ!(涙)。
――すいません……。では、『ぼっち村』は何故この3巻で終えて、『ぼっちぼち村』にリニューアルしたのでしょうか?
市橋 これに関しては、今回発売した3巻と、現在の週刊SPA誌上で連載中の『ぼっちぼち村』を読んで頂ければわかります。要するに、“もうぼっちじゃない”ということです。ぼっちの看板が重荷になった感じでしょうかね? あと重要なのは『ぼっち村』の原稿料をコツコツ貯めて、ついに田舎に家を買って退路を断ったガチ移住をしてしまったのです。(そこも3巻に綴られています)。ここまでやみくもに、農業だ就農だと無理に張り切っていた部分も含め、見直したくなったりと、いくつかの大きな理由があって、一度仕切りなおさせてもらいました。
――では、その『ぼっちぼち村』の見どころは?
市橋 最初こそ、『ぼっち村』とあまり変わりはなかったんですが……。より理想の農的田舎暮らしを夢見て仕切り直したはずなのに、人生が変わるような想定外の出来事が立て続けにおきました。僕自身も今後どうなるかわかりません。
――実は“農業もお休み中”とのことで?
市橋 はい、諸事情でドクターストップ状態です。2020年は無理のない範囲で再開し、新しい農業との付き合いを、農的な生活を発展させていきたいと考えてます。「ぼっち村」での5年間の農業の苦しみを無駄にしたくないですし、楽しい農業は自分の目指す田舎暮らしには欠かせないので、色々考えてはいます。これまでの苦しみの連続から、楽しさや幸せのあふれる生活ってのも目標だったので、楽しくやっていきたいです!
――SPA!としては、楽しいだけじゃなく、苦しむ姿も見たくはありますが……。
市橋 そこはご安心ください。チビでハゲでブスでバカで、金もなく人気もなく未来もなく……、ダメな要素に関しては枚挙にいとまがないオッサンなので、SPA!の特集によく出てくるそんなオッサン代表として、嫌でも苦しんだり困難の連続になると思います!
<取材・文/日刊SPA!取材班>
自称・崖っぷち漫画家。「敗北DNA」(KADOKAWA刊)、「漫画家失格」(双葉社刊)などモテない男や、生きづらい人間の群像漫画を主に描き、カルト的な人気を誇る。SPA!では'11年に「アラだらけ君」を連載後、田舎暮らしと農的生活を描く「ぼっちぼち村」を連載
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