更新日:2023年04月18日 11:33
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デジタルよりも紙の本が優れている点はある?

いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第120回 本「Kindle」や「めちゃコミック」など電子書籍や電子コミックが当たり前の時代になりました。デジタル化は保管や持ち運びという面では便利ですが、「あらゆる面で紙媒体よりも優れている」というわけでもありません。では、電子書籍よりも紙媒体が優れている点とはなんでしょう。それは「手触り」です。

「手触り」は想いを呼び起こす

 触覚と視覚はそれぞれ異なる印象を呼び起こします。これは情報が流れる回路の問題です。目で見た情報は頭に流れて「考え」になります。それに対して、手で触れた情報は胸に流れて「想い」になります。もちろんこれは科学的な話ではありません。しかし、自分の胸から想いがこみ上げてくるような体験は誰にでもあるはずです。  もしトロフィーや賞状といった記念品を持っているのなら、それをただ壁に飾って眺めているだけでなく、試しに手に取ってみてください。それを受け取った時の記憶が、眺めているだけの時よりも豊かに蘇ってくるはずです。その豊かな印象が「想い」です。  人は物に想いを宿らせます。同じマグカップでも、雑貨屋の売り場で落として割ってしまうのと、恋人とおそろいで購入して家で落として割ってしまうのとでは、浮かんでくる想いはまったく違ってきます。人間は客観ではなく、主観の世界に生きているのです。  そして、その主観的な想いが、私たちをある方向へつき動かしたり、ある地点へ引き止めたりしています。だからこそ自分の想いをないがしろにしていると、やる気や動機、モチベーションで悩むことになります。ただ頭で客観的に考えているだけでは、にっちもさっちも行きません。かといって「考えても無駄。行動あるのみ」と考えても、行動できるようになりません。大切なのは「想い」です。

電子書籍で読んで、大切な本は紙版を買う

 タブレットやスマホや電子書籍の普及によって、手触りが呼び起こす「想い」は、ないがしろにされるようになりました。こうした考えも少し前なら「時代についていけない遅れた考え方」と揶揄されたかもしれません。しかし、当たり前になるくらい普及した今だからこそ、「そういう考え方にも一理ある」とうなずけるようになります。  音楽業界は出版業界よりも早くこの流れが起きました。ハイレゾやネットワークオーディオが普及する一方で、レコードやカセットテープといったアナログメディアに魅力を感じる若者が現れて話題になりました。音楽は他の文化に比べてトレンドの変遷が早く、他の文化の動向を予測する上で参考になります。  時代の流れがペーパーレスなのは間違いありません。その流れに無闇に逆らっても、ストレスになるだけなのは明らかです。実際に情報収集や気休めが目的の読書なら、電子書籍の方がはかどります。しかし、自分が心を揺さぶられた一冊に出会った時は、紙媒体で所有してみてください。その手で触れる度に、読んだ時の印象や自分の状況が蘇り、あなたを動かす原動力になってくれるでしょう。 佐々木
コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」。著書『人生を変えるマインドレコーディング』(扶桑社)が発売中

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