お金

新車をつくっているメーカーが中古車も売るのはなぜなのか?

 クルマも腕時計も好きな斉藤由貴生です。私は、現代のおかしな消費を変えるために実践を重ねながら、いろいろ研究してきました。私は30代のいわゆるバブルを全く知らない世代です。所有欲の薄い世代とは言われますが、私の場合は、むしろ価値あるものは我慢せず所有したいと考えています。そんな私の価値観を、不定期ですが披露したいと思います。

斉藤由貴生

第35回 中古市場の整備が企業にとって急務になる!

 クルマは、中古市場が整備された代表例です。近年、新車をつくっているメーカー側が中古車のCMを積極的に流すのはこのことがわかっているからです。  一方、その他分野のメーカーはいかに自分たちの製品、すなわち新品を売るかということしか考えていないようです。
中古車

※写真はイメージです

 自動車の例が示すように、ありとあらゆるメーカーは業績を上げることを考えるならば、中古市場の整備という観点を重視しなくてはならないのです。多くの企業にとって重要なのは良い製品を作り、その中古市場を整備するということ。これまでの常識であれば、多くのユーザーの需要に応えるためには確率論が優勢でした。つまり、ラインナップ数を増やして誰にでも刺さる商品を用意するということ。  しかし、それでは魅力的な商品が生まれません。商品数が増えるということはユーザーからすると人気の分散となりますし、企業側は開発費の分散となってしまいます。つまり、低人気の商品を大量に作るということになるわけです。

トヨタ公式中古車サイト

中古品を売買するマーケットが整ってきた今がチャンス

 一方、世の中で人気のある商品のラインナップはどうでしょう。  人気のあるモノといえば、例えばアップル製品。アップルは時価総額世界ランキングでトップクラスの企業です。そのアップルのラインナップは至ってシンプル。消費者からの人気も集中しますし、開発費も集中。つまり人気がある良い製品を作っているのです。  さらに、アップル製品は下取りだって有利。かつてガラケーの時代に使い古した自分の携帯電話を数万円で下取りしてもらうなんてことは考えられませんでした。それがiPhoneの場合、何年か使っても数万円の価値がつくということもあるのです。  企業にとって今こそ中古市場を整備するチャンスだと思います。なぜなら、スマホがこれだけ普及した現在、多くの人がインターネットでつながれています。ですから、不要となった中古品がより一層売りやすい。これまでだったら、理屈としては中古市場の整備ということが理解できても実行するのは難しかったでしょう。クルマのように単価が高くて売買件数も多いものなら、買取専門店が街中にチェーンとして大量出店するほどの市場があります。

じゃんぱらのiPhone買取ページ

 しかし、時価数万円程度のマニアックなモノは街中に実店舗を構えていたとしても、買い取る側としても家賃と人件費のコストに見合わないでしょう。そうしたモノは、インターネットを通せば、消費者間移動を現実的な方法で実現できるのです。  実際、ヤフオクという売れるツールがなければ、私だって中学生の時からパテック フィリップなんて買えませんでした。ヤフオクが誕生した1999年からオークションにハマったおかげで私は、「売る」という観点でモノを買うことができたのです。しかも今はヤフオク以外のマーケットもある。また、街中というリアルな場においてもブランド品などを扱う買い取り専門のお店がたくさんできています。こうしたことから、企業も積極的に中古品を回しつつあるということが証明できます。
1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

もう新品は買うな!もう新品は買うな!

もう大量消費、大量生産で無駄遣いをするのはやめよう

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