腕時計投資家の斉藤由貴生です。
新車の軽自動車より中古の高級車を買え

斉藤由貴生
私は、モノを買うならば「良いモノ」を買ったほうがいいと思っています。安モノを買うならば、高級品を買ったほうがいいという考えであるわけですが、そういった行動は「お金持ち」でないとできないと思う方も多いでしょう。
実際、良いモノは高いわけですから、安いモノを買ったほうがお得と思うのが、一般的な考え方でしょう。しかし、高級品のなかでも、お得に買うことができるモノが実はあるのです。
それこそが、まさに中古品。高級品をお得に買ううえで中古品を選択肢に入れることは、重要なポイントなのです。ファーストフードなど、世の中にはお得なクーポンが出回っていますが、そのようなクーポンを使っても元値の10分の1で買えるということはまずないでしょう。
けれども中古品、特に中古車の場合、新車価格の10分の1程度が相場ということは珍しくありません。だから私は、「新車の軽自動車を買うなら、絶対に中古の高級車を買ったほうがいい」と思うのです。
そうはいっても、「高級車は買った後の維持費が高いだろう」とお思いの方も多々いらっしゃるでしょう。その説を検証するために、私は元軽自動車オーナーの友人に中古のベンツをプレゼントしました。今回は、その結果をお話ししたいと思います。
まずはじめに、新車の軽自動車と中古ベンツの商品力としての差を考えて見たいと思います。
今回私が友人にプレゼントしたのは、2008年式のAクラスですが、これはベンツのなかで、もっともコンパクトなクルマです。とはいっても、このクルマの定価は299万円。当時の売れ筋軽自動車の価格帯はおおよそ120万円程度でしたから、倍以上も新車価格が高いクルマだったといえます。

2代目Aクラス(W169)A170エレガンス
もちろん、13年前のAクラスと比較するのは現在の軽自動車。今の軽自動車の主な価格帯は車両本体価格で170万円程度になり、13年前よりもだいぶ高くなったといえるでしょう。
価格が高くなったぶん、イマドキの売れ筋軽自動車には、電動スライドドアや安全装備など人気アイテムが満載。ただ、そうはいっても自動車本体のクオリティは普通車並みになったとはいえない状態。つまり、価格は上がったものの、質感は軽自動車の範疇に収まるぐらいです。
例えば、中古Aクラスの場合、13年落ちの中古車でも車内に乗り込むとやはり高級感が漂っています。また、単に雰囲気が高級なだけでなく、シートは非常に良いホールド感ですし、長時間乗っていても疲れません。加えて走りの上質さに至っては、だいぶ大きな差があるわけです。
そして、安全性においても13年前のAクラスのほうが勝る部分があるといえます。
以前の記事でもお伝えしましたが、Aクラスの安全性はユーロNCAPによってテストされています。ユーロNCAPは2000年代の時点からサイドポールテストを行っており、13年前のAクラスもしっかりこのテストに合格。しかしながら、日本市場のみで販売されている軽自動車にはサイドポールテストが実際されていない模様です。また、売れ筋のトール型軽自動車は横転しやすいという論文も出ており、なにかと安全性に疑問があるわけです。
つまり、上質さ、快適さ、安全性といった項目において、13年前のAクラスは新車の軽自動車に勝っているといえるのです。

助手席側から運転席を眺める。新車のようにきれいな内装