「AVモザイク除去」できるAIに業界が震撼、人気AV女優も被害に…
かつて実話誌の広告にあった「AVのモザイク除去機」が現代に甦った! AIの技術の進化によりモザイクの除去が可能となったが、人気AV女優も被害にあうなど、業界は深刻な被害に頭を痛めていた
昨年12月にSPA!は、AI(人工知能)で有名芸能人の顔にすげ替えた「フェイクポルノ」の蔓延についてお伝えしたが、現在、AIを悪用したアダルトコンテンツにはもう一つの潮流がある。それはモザイクが限りなく薄く見える「モザイク除去動画」の存在だ。すでにKやFといった海外のポルノ動画サイトでは大量にアップされている。
なかには本来、無修正作品が出回っているはずのない有名女優のT・SやM・Yなどの動画もある。これらの動画が流通し始めた当初、「いったいこれは何だ?」と謎が謎を呼んだが、そのカラクリが明らかになりつつあり、AV業界が震撼しているという。
真相に迫る前に、まずは実際にサイトで件の動画を探してみた。無数にアップされている素人や外国人の作品に交じり、日本の有名AV女優の名前がある。タイトルには「無碼破解(モザイク除去)」などと中国語で書かれている。
映像では絡みのシーンが始まると、モザイクのあるはずの局部にぼんやりと紗がかかり、やや不自然に歪みのある性器が映し出される。性器に触れる手や唇を見るとわかりやすいのだが、動きや形状が少しおかしいのだ。
それもそのはず、実はこうした動画はAIで性器を「再現」したものなのだ。つまり、モザイク越しの色や形状、また体の角度などから、AIが分析し「おそらくこんな感じではないか」とモザイク部分を補う“偽造性器”なのだ。テクノロジーメディア「ロボティア」編集長の河鐘基(ハジョンギ)氏は言う。
「解像度の低い画像や動画を鮮明にしたり、合成・再現するAI技術は数年前からトレンドになっており、GAN(敵対的生成ネットワーク)という技術が使われています。機械学習とは違って“教師データ”がなくても、対象からAIが構造や法則を見つけ出して補完したり、実在しないデータを生成するのです。写真の背景に映った邪魔な電柱や通行人を違和感なく消すアプリがありますが、こうした技術が応用されています」
人気AV女優の三上悠亜さんは昨年夏、インスタグラムで「私の無修正流出!と話題になっていますがAIで作られたものなので残念です」と投稿しているが、業界関係者はこうした動画の蔓延に怒り心頭のようだ。
「女優さんがかわいそうですよ。モザイクがあるからAVに出演しているコも多いですからね。被害に遭ったと知ったらショックでしょうね。偽造されたもので、“性器のお面”をつけているようなものだと言っても理解してくれないでしょうしね」(制作会社関係者)
では、こうした動画はどこからやってくるのか。AI技術に長けたエンジニアが作っているのだろうか。否、すでにモザイクを除去するソフトが誰でも入手可能な状態にあるのだ。詳しくは後で解説する検証を見てほしいが「JavPlayer」という、AI技術を組み込んだ動画プレーヤーが存在し、同ソフトで作製された動画が大量にアップされているのだ。
同ソフトに関しては配布ページがあるものの、作者の正体は不明だ。コンタクトは試みたが、連絡先は一切公開されていない。作者は日本人のようだが、配布ページも海外の製作サービスを使用しており、概要もわからない。
海外サイトに溢れるAVモザイク除去動画の正体とは
フリーライター。性風俗、女性問題、金融犯罪などを中心に執筆。未婚で1児を出産後、結婚。3児の母。愛人に走る女性をルポした『副業愛人』など著書多数。女性のお金や生活事情に関するルポ、詐欺事件を多く扱う。性とお金に対する欲望と向き合う人間をフィールドワークし、取材執筆を続けている。日本プロダクション協会の監事も勤めている
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