更新日:2023年05月18日 16:20
デジタル

「AVモザイク除去」できるAIに業界が震撼、人気AV女優も被害に…

AVモザイク除去ソフトを使って中国人が大量アップ?

 モザイク除去はもともと、数年前からエロゲーの画像のモザイク外しとして有志によって行われてきた。近年、AI技術の急速な発展で、リアルタイムで動画からモザイクを除去して再生するプレーヤーが出現したのだ。制作者はおそらく個人の趣味で開発をスタートさせたが、昨年夏ごろから何者かが海外サイトなどに収益化を目的とし、モザイクを除去したAVを無断で上げるようになっていったようだ。AI事情に詳しいあるゲームコンテンツ制作者は言う。 「モザイク部分の再現にはPCに大きな負荷がかかるので、スペックの高いものでないとキレイにできません。おそらく中国人業者がハイパワーな自作PCを作って、動画をガンガン加工しているようです。一般人の趣味の範疇ではできないボリュームです」  海外にアップされているモザイク除去動画は無料で見られるため、サイト自体には広告収入が、投稿者にもアフィリエイト収入が入るシステムだ。完全に違法行為だが、前回お伝えしたフェイクポルノの流通と似た形態となっている。  個人が購入した動画をソフトで処理してモザイクを除去して楽しむ分には問題はない。しかし、営利目的で不特定多数が見るサイトにアップするのは、著作権を侵害する行為に当たる。  こうした状況に対し、AV業界はどんな対策をしているのだろうか。アダルト作品の著作権保護などの活動を行う業界団体IPPAは以下のように回答した。 「違法動画として削除対応を行っておりますが、警察からも捜査協力の要請があります。違法動画の視聴行為は、制作したメーカーに利益を生みません。そのため、出演者の方々の報酬にも影響が出ることとなり、よりよい作品を制作していくことが困難になってしまいます」(IPPA事務局)  当然、違法コンテンツの蔓延は、クリエーターの死活問題にもなっていく。AV監督の日比野正明氏はこう話す。 「AV制作者には、映画やテレビをやりたかったけれど、実力や才能がなくてこの業界に入ってきた人もいれば、中卒など学歴が低くてエンタメ業界を諦めた人もいます。そんな人たちでも、まともな飯を食っていける業界でした。でも、著作権を保護してもらえないと生きていけず、僕らのようなものづくりの“底辺”がいなくなってしまう。著作権が大事なのは映画でもAVでも同じです」  合法なポルノ映像を実現すべく、モザイクというガラパゴスな文化が発明され、日本のAVをここまで発展させてきた。その破壊者が現れた今、日本のAV産業は危機的状況にある。
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モザイク除去を検証した!
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フリーライター。性風俗、女性問題、金融犯罪などを中心に執筆。未婚で1児を出産後、結婚。3児の母。愛人に走る女性をルポした『副業愛人』など著書多数。女性のお金や生活事情に関するルポ、詐欺事件を多く扱う。性とお金に対する欲望と向き合う人間をフィールドワークし、取材執筆を続けている。日本プロダクション協会の監事も勤めている

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