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純烈、紅白2年連続出場。“オッサンアイドル”はなぜこんなに愛されるのか?

平均年齢42歳!! 紅白2年連続出場、シングル10万枚超え!

 スキャンダルを乗り越え、2年連続紅白歌合戦出場を果たしたムード歌謡グループ「純烈」。平均年齢42歳の“オッサンアイドル”はなぜこんなに愛されるのか? 純烈

「純烈」それ自体が業界のビジネスモデル

 日本列島が令和2年を迎えた2時間半後、健康センター「東京お台場大江戸温泉物語」館内大広間・中村座のステージには、紅白歌合戦出場グループが立っていた。大晦日の午後7時35分、きらびやかなNHKホールの舞台で「純烈のハッピーバースデー」を披露した4人は、国民的テレビ番組の生放送が終了するや否や、会場を飛び出し“凱旋ライブ”へと向かった。  デビュー時から全国の健康センターを巡り続けてきた彼らにとって、そこはホームリング。2年連続で紅白へ出場するようになっても、その姿勢は一貫している。  初出場となった’18年も紅白終了後に草加、厚木、相模原と3か所を朝までかけて回り、待ちかねていたファンはもちろん、健康センターの一般利用客も喜ばせた。ほとんどの紅白出場者は、それが終われば一息ついて新年を迎えられるが、純烈にはそうした選択肢がない。 「一年のスタートをここから始めないと自分たちが何者なのかわからないっていうようになっちゃうと思うんです。一年間の感謝とともに、誰よりも早く’20年をスタートさせないと。できる人が寝ているスキにやらないと勝てないですもん」  深夜2時すぎのインタビューながら、リーダーの酒井一圭(かずよし)(44歳)はそうした状況を明らかに面白がっている目で受験生のようなことを言った。そして、その15分後には白川裕二郎(43歳)、小田井(おだい)涼平(48歳)、後上(ごがみ)翔太(33歳)とともにステージへと上がっていた。
純烈

紅白リハーサル時の囲み会見でのフラッシュの放列に驚く4人。小田井涼平(48歳)白川裕二郎(43歳)後上翔太(33歳)酒井一圭(44歳)

 畳の上にべた座りして待っていた純子と烈男(純烈ファンの呼び名)のうち、前方半分は場内で放送された紅白を視聴、後方は自宅で見てからお台場へやってきた。丑三つ時とは思えぬ熱気と一体感の中、平均年齢42歳のオッサンたちは6曲を披露し、MCを含む1時間のステージで今年最初のハッピーを提供した――。  昨年1月、夢の紅白初出場から9日後に発覚した元メンバーのDVおよび金銭トラブルによるスキャンダル。天国から地獄へと突き落とされた純烈は、解散を覚悟するまでに追い込まれた。  だが、ファンや関係者のほとんどがネガティブなことがあったからといってその元を離れず。それどころか励まし、応援し、背中を押し続けた。その時、酒井は「この人たちのために何があっても純烈を続けなければ」と覚悟を決めた。  スキャンダルに見舞われた時点では、2年連続紅白出場は不可能と見る者のほうが多かったが、純烈はそんな常識さえも覆した。ムード歌謡の“ム”の字も知らないオッサンたちによって始められたことが、なぜここまで支持されるまでになったのか。それが紅白直後の元日ライブに集約されている。
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ビッグになろうが、ファンとの距離感は不変
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(すずきけん)――’66年、東京都葛飾区亀有出身。’88年9月~’09年9月までアルバイト時代から数え21年間、ベースボール・マガジン社に在籍し『週刊プロレス』編集次長及び同誌携帯サイト『週刊プロレスmobile』編集長を務める。退社後はフリー編集ライターとしてプロレスに限らず音楽、演劇、映画などで執筆。50団体以上のプロレス中継の実況・解説をする。酒井一圭とはマッスルのテレビ中継解説を務めたことから知り合い、マッスル休止後も出演舞台のレビューを執筆。今回のマッスル再開時にもコラムを寄稿している。Twitter@yaroutxtfacebook「Kensuzukitxt」 blog「KEN筆.txt」。著書『白と黒とハッピー~純烈物語』『純烈物語 20-21』が発売

純烈物語 20-21

「濃厚接触アイドル解散の危機!?」エンタメ界を揺るがしている「コロナ禍」。20年末、3年連続3度目の紅白歌合戦出場を果たした、スーパー銭湯アイドル「純烈」はいかにコロナと戦い、それを乗り越えてきたのか。

白と黒とハッピー~純烈物語

なぜ純烈は復活できたのか?波乱万丈、結成から2度目の紅白まで。今こそ明かされる「純烈物語」。

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