更新日:2023年05月18日 16:55
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近所にエロい店ができるのは良いが、難易度を示してほしい――patoの「おっさんは二度死ぬ」<第79話>

怪しいおっさんは討伐難易度を★で示してくれ

 こうして、暴力が「漁師になるのがいやで佐賀を飛び出してきて、いろいろあってここで店員やってるけど、魚を見ると実家を思い出す」という、苦労話を延々と聞かされることとなった。  キューティーハニーが来ることもなく、エロがあるわけでもなく、ただただ暴力と話を続けるだけで最初に払ったセット料金の時間が終わってしまった。しかも、車で来ていたので出された水割りは一切手を付けなかった。  これなら最初のルール説明いらんやろ、誰も暴力の衣装を脱がせないし、僕も脱がない。  結局、本当にキューティーハニーと関わることなかったし、僕だけエロい展開が皆無だった。  「カサブランカはエロくなかったですよ。延々と漁師にならなかった悲しい男の話を聞かされます」  爺さんどもにそう説明すると、「それみたことか!」みたいな感じになってしまった。  結局、カサブランカは1年も持たずに潰れることとなった。噂によると、田舎町の郊外の国道沿いにお酒を飲む店を作ったものだから、飲酒運転になるので誰も車で来店せず、あっという間に潰れたらしい。  そんなことをふっと思い出した。  「確かにどれくらいエロいか表示は必要かもしれませんけど、エロい店だからと言って必ずエロい展開があるわけではないですからね。そこは個人に寄るかもしれませんね」  カサブランカの惨劇を思い出し、そう言った。  高橋さんは「そこに気づいたか」と満足げな顔を見せていた。なんなんだよこいつ。  ちなみに、この高橋さん、申し遅れたが、古くからの知り合いだとか飲み仲間とかではなく、公園でサンドイッチを食べていたら話しかけてきた知らないオッサンだ。  最初は「高橋と申します」と紳士的に話しかけてきたので話し相手になったが、徐々に「メガネ屋がエロかったら」みたいな怪しい話を始めたので、こういうおっさんは討伐難易度みたいな感じでどれだけやばい思想の持ち主かってのを★★★★★★クシャルダオラ級とでも首からぶら下げて表示しておいてほしい。 ロゴ・イラスト/マミヤ狂四郎(@mamiyak46
テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――

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