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近所にエロい店ができるのは良いが、難易度を示してほしい――patoの「おっさんは二度死ぬ」<第79話>

 昭和は過ぎ、平成も終わり、時代はもう令和。かつて権勢を誇った“おっさん”は、もういない。かといって、エアポートで自撮りを投稿したり、ちょっと気持ちを込めて長いLINEを送ったり、港区ではしゃぐことも許されない。おっさんであること自体が、逃れられない咎なのか。おっさんは一体、何回死ぬべきなのか――伝説のテキストサイト管理人patoが、その狂気の筆致と異端の文才で綴る連載、スタート! patoの「おっさんは二度死ぬ」

【第79話】魅惑のカサブランカ

 それがどれだけエロい店であるか、これが重要だ。  例えば、そこらへんにあるメガネ屋さんがどれだけエロいか考えたことがあるだろうか。  いや、もちろんメガネ屋はエロくない。メガネを作る場所だ。視力検査とかを経て、自分に合ったデザインのフレームを選び、度がきついから値段の高い圧縮ガラスのレンズにして、と選ぶ場所だ。赤フレームはちょっと攻めすぎだろーとなる場所だ。間違ってもエロい場所ではない。  「ただ、そうとも言い切れないんじゃないかな?」  高橋さんはそう言って笑った。いや、言い切れるでしょ、と思ったが面倒なのでそのまま黙っていた。  高橋さん曰く、メガネ屋がエロい店である可能性は僅かだが存在しており、例えば一番高級なメガネを購入した人には少しエッチな特典があったり、もしくは吉野家の裏メニューのように知ってる人だけが可能なツウの組み合わせでメガネを作成すると、途端にピンクライトに彩られた奥の部屋に通され、そこにはメガネをかけた知的でセクシーな美人が……。  「そういう可能性がないわけじゃない」  高橋さんはそう言って笑った。いや、ないでしょ、と思ったが言わないでおいた。  高橋さんの説によると、この世の全ての店舗はどれだけエロいか分からないらしい。  普通に営業している店でも入ってみたらエロい店だったということもあるし、エロい店ですぞ、という佇まいでも全くエロくない、ということが普通にあるらしい。それは、すごく大変なことなんだよ、と言っていた。たぶん、この世の大部分の人はそう考えていないだろうけど、高橋さんは考えているようだった。  「その最たる例がメンズエステだ」  高橋さんは、カッと目を見開いて力強く言った。  メンズエステとは読んで字のごとく男性がエステおよびマッサージを受ける店舗なわけだ。  もちろん、本格的なメンズエステ店などもあるのだが、ここで述べられているのはもっと怪しげなヤツ、繁華街などを歩いていると怪しげな看板が道路上に置かれていることがあるが、あれのエロさが最重要になってくるらしい。  ちなみに、そういう怪しい看板はヤシの木が描かれている率が高いらしい。よくわからんけど。
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ギリギリなのか、そうでないのか判別できるようにしてほしい
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