被災鉄道の周辺住民 「このままでは見捨てられた土地になる」

世界に誇る日本の鉄道網も東日本大震災によって壊滅的な打撃を受けた。人や物資を運ぶライフライン=鉄道だが、いまだ復旧さえおぼつかない地域も多数残されている。被災地の鉄道復旧はなぜ遅れているのか。その要因を現地で探った。

 実際に住民はどう考えているのだろうか。500m前後の内陸移転案が進められている宮城県の仙石線野蒜駅を訪れてみた。

 仙石線は、仙台と石巻を結ぶ路線。通勤通学に加え、沿線に松島海岸があることから、観光客の利用も多い宮城県の大動脈だ。

「内陸移転自体が我々住民にとっては寝耳に水でした。住民の合意が後押しをしたなんてニュースも出ていたけれど、全く聞いてもいないし合意もしていません」

 こう話してくれたのは、「仙石線沿線住民の会」の坂本雅信会長。

「我々も500m程度の移設ならやむを得ないと思っているんです。ただ、移設完了までどれくらいかかるのか、それまでの代替交通手段はどうなるのかが問題。代行バスがあるけれど、本数は1時間に1本。鉄道の半分です。時間も倍かかるし、定員も少ない。渋滞の原因にもなる。車がある人はいいけれど、免許を返上した年寄りや、学生は大打撃です。さらに、冬場は震災前から路面凍結による事故も少なくなかった。通勤通学時間帯のバスでそうなったら大惨事になるでしょう……」

仙石線沿線住民の会

「何が何でも反対というわけではない。移設完了までの足が必要だとわかってほしい」(「仙石線沿線住民の会」の坂本雅信会長)

 しかし、JR東日本側は、現ルートでの仮復旧は行わない方針だ。「移転工事も含めれば二重投資になる」(JR東日本仙台支社長)からである。

「移設路線完成までの仮復旧でいいから現ルートを通してほしい。現在の軌道を利用するのだから用地買収も不要だし、完全に元通りにしなくてもいいのだから、すぐにできるはず。そうしなければ、この地区からどんどん人がいなくなり、見捨てられた土地になってしまう」(坂本氏)

 1月26日の報道によると、JR東日本は3年半後をめどに移転復旧させる方針を固めたそうだが、新ルートの決定や用地買収など、先行きは不透明なのが現状だ。

― [被災鉄道]復旧への遠い道のり【2】 ―




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