更新日:2023年05月24日 15:09
エンタメ

「表紙を撮れるカメラマンは世界に数人だけ」知られざる航空専門誌の凄み

専門誌だからこそ生み出せるクオリティがファンを魅了する

 高性能のデジタル一眼レフとレタッチソフトが安価で手に入る昨今では、プロ顔負けの腕をもつアマチュア写真家も増加。「空美ちゃん」と呼ばれる飛行機好きの女性たちが、各地の空港でカメラを構える姿も、いまや日常の光景になりつつある。  だが、そんな“1億総カメラマン化”の時代だからこそ、冒頭でふれた美麗なグラビアが躍る紙媒体の真価はある。70年近くにわたって紡がれてきた専門誌としての情報の蓄積と人脈がなせる“プロの仕事”を大事にしたいと、編集長は言う。 「読者あっての雑誌ですから、距離感というのはかなり意識して作ってはいるつもりです。投稿してもらった写真に解説を添えたカラーページも毎号、力を入れてますしね。ただやっぱり、プロの写真家が撮った写真にはお金を払う価値がある。とくに誌面の8割を占める軍用機は、誰もが実際に乗れる民間機とは異質なもの。私自身、印刷所から見開きグラビアの色校見本が上がってきて、それを最初に広げるときなんかは、いまだにゾクっとしますしね(笑)」  もし“原点”があるとすれば、三井編集長にとってのそれは、おこづかいを握りしめて『航空ファン』を買ったあの日、あの瞬間。作り手として一筋に過ごしてきた彼の想いは「ページをめくる」という紙媒体にしかできないその動作に詰まっている――。

現在発売中の『航空ファン6月号』。ブルーインパルスの特集が組まれている

<構成・撮影/鈴木長月>
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●『航空ファン』
発行:文林堂
創刊:1952年11月
発売日:毎月21日発売
公式ブログは随時更新中
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