仕事

最低賃金の仕事しかない…失業中にコロナ流行、43歳派遣男性の不幸

―[コロナ禍と人生]―
 新型コロナウイルスの流行により仕事や住居の変化、起業・学業・結婚の中断、中には家族の死など人生計画を狂わされてしまった人々は数多い。彼らはその後、どうなったのか? 今後もコロナ禍収束の見通しが立たない中、その生活ぶりと価値観の変遷に密着した。

※写真はイメージです(以下同)

コロナ鬱で失業保険をもらい損じた上に職探しに苦労

 失業中に新型コロナの煽りを受け、人生のどん底に落された人もいる。  元自動車期間従業員の斉藤正義さん(仮名・43歳)は借金300万円を抱え、昨年11月まで他県の自動車メーカーの工場に期間従業員として出稼ぎに出ていた。しかし、勤務中の事故で右手の薬指を骨折し、退職を余儀なくされてしまった。 「借金は残ったままですが、正直言うとケガをしてホッとした気持ちもありました。昼夜2交代制で慢性的な睡眠不足に陥りましたし、ミスをすればライン全体が止まってしまうプレッシャーに押しつぶされそうでした」 男性 実家に戻った斉藤さんだったが、指のケガよりも心のダメージが深く、鬱々と過ごすうちに1月に予定していたハローワークとの面談日をすっぽかし、2か月間も放置してしまった。これが、さらなる不幸の始まりだった。 「コロナが流行し始めてさらに心が落ち込んでいたのもあり、なんとなく行きにくかったんです。しかし、正当な理由なく行かなかったので、失業保険の受給意思がないと見なされてしまったんです」  受給資格を喪失したことに気づいたのは、3月に入ってから。国内でコロナウイルスがさらに拡大を始めた時期だった。 「慌てて職探しを始めたのですが、コロナで派遣切りに遭った人たちも一斉に職を探し始めたので、働き口は全く見つかりませんでした」
次のページ
時給はほぼ最低賃金
1
2
年収100万円で生きる-格差都市・東京の肉声-

この問題を「自己責任論」で片づけてもいいのか――!?
おすすめ記事