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住宅ローンを返済できず「コロナ競売」で突然家を失う人々

―[コロナ禍と人生]―
 新型コロナウイルスの流行により仕事や住居の変化、起業・学業・結婚の中断、中には家族の死など人生計画を狂わされてしまった人々は数多い。彼らはその後、どうなったのか? 今後もコロナ禍収束の見通しが立たない中、その生活ぶりと価値観の変遷に密着した。 コロナ禍と人生 住宅ローン

「コロナ競売」により突然家を失う人々が急増

 不動産市場でも、新型コロナウイルスによる影響が浸透している。住宅金融支援機構によると、同機構コールセンターへの住宅ローンの支払い相談件数は2月の15件から5月には約2265件と大幅に増えている。  不動産の差し押さえを行う「不動産執行官」のA氏によると、収入が突然途絶え、住宅ローンを返済できず競売にかけられる物件が後を絶たないという。特に最近は破産するサラリーマン大家が急増しているのだとか。「あなたもマンションオーナーに」といった軽い触れ込みで多額のローンを組ませる不動産投資の成れの果てだ。 「当初は家賃補償制度がある、家賃保証会社が間に入っていると安全面を打ち出しての契約だったようです。しかし、新型コロナウイルス騒動による急速な市場の悪化から、家賃補償制度の条件変更が一方的に告げられる、家賃保証会社の夜逃げ、または債権のみが転々と得体の知れぬ業者へと売り渡されていき、どこが家賃保証会社なのかもわからなくなり、当然のように家賃保証が受けられなくなるなど、状況はさまざまです」  もちろん家賃保証神話が崩れてしまえばサラリーマン大家に多額のローン返済能力があるはずもない。物件は競売の餌食となり、住んでいただけの賃貸利用者は何もわからないまま「競売」の波にのみ込まれていくことになる。  それにより突然住居を失い、「実家に戻らざるを得なくなったり、知人の家に居候するはめになる人も少なくない」とA氏は指摘する。 「リーマンショック時のように中小企業金融円滑化法(モラトリアム法)が制定されるか否かが注目されますが、それにより『ゾンビ企業』が増える弊害も出たため政府も慎重になるでしょう。逆に、キャッシュがある人にとっては今はお値打ち物件の刈り入れ時でもあるのですが……」  また、コロナ流行直前に五輪需要を見越して新規契約をしてしまった事例も多い。「五輪関連スタッフが泊まるためのホテルが足りなくなるため、Airbnbに需要がある」とそそのかされ部屋を複数契約してしまった人が、家賃と違約金を支払えず破産する例も少なくない。まさかこんな結末になるとは思いもよらなかっただろう。 <取材・文/週刊SPA!編集部>
―[コロナ禍と人生]―
年収100万円で生きる-格差都市・東京の肉声-

この問題を「自己責任論」で片づけてもいいのか――!?
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