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虹プロだけじゃない。オーディション番組が乱立する韓国テレビ事情

虹プロ

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日本のお茶の間を虜にしたK-POPオーディション番組

 K-POPオーディション番組『Nizi Project(通称:虹プロ)』(Hulu/一部、日本テレビ系)が、放送終了後の現在も話題となっている。同番組は韓国の大手芸能事務所・JYPエンターテインメントと日本のソニーミュージックがタッグを組み、「世界で活躍できるガールズグループ」を結成するプロジェクト。壁にブチ当たりながらも奮闘するメンバーの姿もさることながら、プロデューサー、パク・ジニョン(J.Y. Park)の含蓄ある言葉に日本のお茶の間は熱狂した。「1位になっても26位になっても同じように特別。1人ひとりが特別じゃなかったら、生まれてこなかったはずです」といったメッセージは、さながら道徳の授業のようですらある(事実、かつてパク・ジニョンは教師を志していた)。  こうしたシリアスかつスポ根的な番組作りによって、虹プロの評価は回を重ねるごとにうなぎ上りとなった。マツコ・デラックスや指原莉乃といった著名人も続々と支持を表明し、それに後押しされるように最終回放送時はツイッターのトレンドワードが虹プロ関連で埋め尽くされる。さらに番組で結成されたNiziUのプレデビュー曲『Make you happy』が発表されると、オリコンで2週間連続1位を獲得したほか、全世界の音楽配信サイトで実に109冠を達成。「虹プロ現象はここからが本番」と関係者の間では囁かれる。  少しさかのぼると、虹プロと同様の韓国アイドル系オーディション番組『PRODUCE48(通称:プデュ)』(Mnet)も日本で話題になった。宮脇咲良らAKB48グループのメンバーが多数参加したこのプロジェクトからは、多国籍アイドル軍団・IZ*ONEが誕生。今や文字通り世界を股にかけて活躍を続けている。いずれにせよ、虹プロやプデュが「日本にはないスタイルのオーディション番組」という観点から評価されたことは間違いないだろう。  実は韓国では、こうしたサバイバル系オーディション番組が乱立している。扱う音楽ジャンルもアイドルだけでなく、ラップ、トロット(韓国演歌)、引退した歌手の復活劇など様々。それどころか飼っている犬、自局の女子アナ面接、小学生によるアプリ開発の模様までオーディション番組として放送するのだという。下に挙げるのは、ほんの一例。かなりの韓流通でも、すべてを知っている方は少ないのではないか。 ●韓国テレビ史を変えた伝説的番組 ・『スーパースターK』(Mnet):歌手 ・『Kポップスター』(SBS):歌手 ・『SHOW ME THE MONEY』(Mnet):ヒップホップ系アーティスト ・『PRODUCE101』シリーズ(Mnet):アイドルグループ選抜 ・『明日はミス・トロット』『明日はミスター・トロット』(TV朝鮮):トロット(韓国演歌) ●ガチ歌唱力バトル系 ・『私は歌手だ』(MBC):大物系歌唱力バトル ・『不朽の名曲 伝説を歌う』(KBS) :カバー対決 ・『ミステリー音楽ショー 覆面歌王』(MBC):覆面歌唱力バトル ・『本物は誰だ!~HIDDEN SINGER~』(JTBC):匿名歌唱力バトル ●ユニークな切り口 ・『サバイバル犬ショー“スーパードッグ”』(KBS):犬モデル ・『創作の神:国民作曲家の誕生』(MBC music/MBC every1): 作曲家 ・『新入社員』(MBC):女子アナ ・『トップデザイナー』(MBC every1):デザイナー ・『奇跡のオーディション』(SBS):俳優 ・『挑戦!スーパーモデル コリア』(オンスタイル):モデル ・『マイスターリーグ』(OGN):eスポーツ ・『スーパーアプリコリア』(OGN):アプリ開発 ●その他、話題のオーディション ・『アイドルリブーティングプロジェクト「The Unit」』(KBS):アイドル再デビュー ・『ダンシング・ハイ』(KBS):ダンス ・『バンドサバイバル!TOPバンド』(KBS):インディーバンド ・『あなたがすぐにボイスクイーン』(MBN):おばさん限定歌唱オーディション
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リアリティショーが乱立するワケ
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出版社勤務を経て、フリーのライター/編集者に。エンタメ誌、週刊誌、女性誌、各種Web媒体などで執筆をおこなう。芸能を中心に、貧困や社会問題などの取材も得意としている。著書に『韓流エンタメ日本侵攻戦略』(扶桑社新書)、『アイドルに捧げた青春 アップアップガールズ(仮)の真実』(竹書房)。

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