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陰キャ女子大生が日本最大のポーカー大会でディーラーデビュー! 19歳の奮闘記

イキって金髪にして、いざ、JOPTへ

 4日間にわたって開催される今大会で、私が参加するのはメインイベントがスタートするDay2とDay3の2日間。私は遠足や旅行、受験など、特別な予定の前日はいつも寝れなくなるタイプで、今回も例の如く、思い切り目の下にクマを作った状態で当日の朝を迎えた。  会場に着くとすぐ、規定の服装に着替えるように指示される。白いブラウスに黒いスカート、そして黒いコルセット、というのがディーラーとして参加する女性の衣装なのだが、このコルセットが強敵だった。付け方がまるで分からない。上下も前後もわからない。「後ろの紐結んで~」と気兼ねなく声を掛けられる知り合いもいない……。  やっとこさ付け終わった頃にはもう集合時間がギリギリまで迫っていて、かけ足で集合場所に向かうと、スラっとした美女達が並んでいて圧倒された。みんな足細い。キラキラしてる。どうしよう。私場違い過ぎない? 帰りたい。
山田まい

数日前になぜか金髪に染めて臨みました……

 しかも皆さん何度もJOPTで撒いた経験があるらしい。圧倒的レベルの差。面構えが違う。あと三十分程でメインイベントが始まるというのに、美女達は楽しそうに会話に花を咲かせている。もちろん私にはそんな余裕も話し相手も無いので、緊張から来る胃痛と静かに戦っていた。おのれコルセット。  トーナメント開始前からすっかり萎縮してしまったが、時の流れは無情だ。あれよあれよという間にディーラー席に座らされ、プレイヤーの方々が卓に集まり始め、気付けばトーナメントスタートの合図が出されていた。え、こんなあっさり始まるの? 待って。心の準備が追いついてないです。お腹痛い。おのれコルセット。

日本最高峰の戦いで緊張する初心者なのに金髪ディーラー

 正直、撒いてる間の記憶はほとんどない。怒涛の8時間だった。たくさん練習したはずのピッチングもチップカウントもボロボロで、プレイヤーの方々にご迷惑をおかけしてしまった。皆今日のためにサテライトを勝ち上がってここまで来たというのに、こんなポンコツディーラーのせいで思い通りのプレーが出来なかったのではないか。申し訳なさと恥ずかしさで消えたくなった。爪、切ってきたのにな。学内トーナメントの時、爪の長さのせいにして目を背けていた自分の実力不足の事実を、真正面から突きつけられた。  無限に挙げられる反省点と、各位への懺悔の気持ちでいっぱいになる一方、そんなマイナスな感情と相反する実感も確かにあった。  ディーラー、めちゃくちゃ楽しい。 山田まい 初めての大きな大会で、精神的にも体力的にもきつい面が多かったが、バリバリ活躍する周りのディーラーさんの姿を間近で見たからだろうか、会場からの帰り道、私の心を支配していたのは謎の高揚感だった。  もっと上手くなって、メンタルも鍛えて、かっこいいディーラーさんになりたい。明日も明後日もディーラーしたい。プレイヤーとしてポーカーをやっている時より、変なアドレナリンが出ていたかもしれない。  中学で私立の女子校に入学してから、周りと自分を比較しては諦めるばかりのネガティブな人生を送っていたが、本来負けず嫌いな性格だったことを思い出した。私も絶対すごいディーラーになってやる。  周りではなく、自分と戦うための人生の一歩目を、踏み出せた気がした。 (文・山田まい) (取材協力/日本カジノ学院 ディーラーズギルド Japan Open Poker Tour / JOPT
19歳。都内の女子大学に通う普通の女子大生。ある日、テキサスホールデムポーカーの魅力にハマり、カジノディーラーを目指すべくカジノ学院に入学。目標はカジノがオープンする日本で人気ディーラー!?
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