更新日:2018年02月13日 13:27
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【ポーカー全国大会リポート】予選から勝ち抜き900万円稼いだ猛者も

 各地のポーカスポット、オンラインでの予選を勝ち抜いてきた170人近くのプレイヤーが知力・体力・時の運を競い合う「JAPAN OPEN POKER TOUR 2014 Season2:Tokyo tour」が東京・銀座で開催された。手前味噌ではあるが、本イベントのSeason1を優勝(超大穴のSPA!記者が奇跡の優勝!! ポーカー全国大会挑戦レポート)した記者は、ワンチャンスに賭けて「東京dePOKER」で行われた予選に参加するも、30人中27位という成績で敗退。予選を含めて5000人近くの参加者がいることを考えれば、本イベントの最終順位は4600位といったところだろうか。前回の優勝がまさに大穴中の大穴だったことを証明する結果となってしまった(涙)。
JAPAN OPEN POKER TOUR 2014 Season2:Tokyo tour

過去最多となる170人のプレイヤーが本戦に進出

 前回お伝えしたレポートと同様、本大会は2日に分けて行われる。170名の参加者はDAY1で60名に絞られ、DAY2は優勝が決まるまで行われる。記者が会場を訪れたのはDAY2開始後5時間、すでに残りプレイヤーは13名に絞られていた。ビッグスタック同士のスリーウェイオールイン(3人が持ちチップのすべてをかけて激突)などの華々しい打ち合いが行われた後、ファイナルテーブルに進む9人が決定した。  ファイナルテーブルに進んでからは、バックヤードにある解説室で観戦することとなった。前回の記事でも解説したが、RFIDという特殊なチップを使ってカードを読み取るハンド公開テーブルは今回も採用。すべてのプレイヤーのハンドは時間差をおいて、ニコニコ生放送で公開されるのだ。 ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=722893
JAPAN OPEN POKER TOUR 2014 Season2:Tokyo tour

ニコニコ生放送でハンド公開中継。解説の模様は、プレイヤーには一切見えないように配慮されている

「前回、自分のハンドが公開されたときは、解説にクソミソに言われたからな。今度はお返しに、こっちが批判する番だ!」  悪意に満ちたペンの力を存分にふるおうと、プレイヤーたちのプレイの隙をうかがっていたのだが、目にするのは理にかなった力強いアクションばかり。回を重ねるごとに上がる大会のレベルに、いつしか目を奪われてしまった(そもそも4600位の人間が批判できる立場にあるのかは甚だ疑問だが……)。  記者が特に注目していたのは、ファイナルテーブルのシート番号1に座っていたYAMASHITA TAKUYAさん。前大会「JAPAN OPEN POKER TOUR 2014 Season GRAND FINAL」で準優勝。2大会連続でファイナルテーブルに進出するという快挙(確率にすると約300分の1)もさることながら、前大会のプライズで参加した「MPC21 RED DRAGON」(8月にマカオで行われた世界大会)では、808人中3位という好成績で、65万8000香港ドル(約900万円)を獲得。日本のポーカースポットで行われる、参加費数千円の予選から勝ち上がり、賞金900万円とはまさにジャパニーズドリームの体現者。しかも、ポーカー歴はまだ1年という。本大会では惜しくも5位に終わってしまったが、終了直後のYAMASHITAさんに、短期間でこれほどの強豪に育った秘訣を聞いてみた。 「日経オンラインで木原直哉さん(日本人初のWSOPチャンピオン)のインタビュー記事を読んだのがポーカーを知ったキッカケです。まずは日本語で書かれている書籍をすべて読みました。特に『フィル・ゴードンのデジタルポーカー』と『アグレッシブポーカー トーナメントを制覇しろ』は理解するまで何回も読み返しました」 「『ポーカーの基本戦略』はネットと本で習得できる(https://nikkan-spa.jp/692451)」でも紹介したが、ここ数年で多くのポーカー戦術書が刊行されている。YAMASHITAさんがあげた2冊、怠け者の記者は軽く読んだだけで断念してしまったが、スキルアップへの意欲と根気があれば、技術体系の大半は理解できるだろう。
JAPAN OPEN POKER TOUR 2014 Season2:Tokyo tour

マカオでビッグマネーを獲得したYAMASHITAさん

「書籍が座学だとしたら、実践はオンラインです。オンライン上でトライ&エラーを繰り返して経験値を増やしました。細かい話になりますが、プリフロップ(最初の2枚でどうプレイするか?)の技術は書籍などの座学でも学べますが、ポストフロップ(場にコミュニティカードが出てからのプレイ)は座学では対処できず、どうしても実践での経験則が必要となります」 「ハンド数をこなせ」とはこれまで取材してきた多くの強豪プレイヤーから聞いてきた言葉だが、実際にはどれほどの数をこなすのだろうか。 「『POKER STARS』の100NL(ノーリミットテキサスホールデムのキャッシュゲーム。ブラインド0.5ドル/1ドルを指す)を6面打ち(多面打ちのこと。ここでは6つのテーブルを同時に開いてプレイ)で、月5万~6万ハンドです。会社員なので土日はほぼ引きこもるようにしてプレイしています(笑)」  通常、オンラインのプレイスピードはライブポーカーの3倍。6面打ちをするとなれば、ライブに比べて18倍ものスピードでハンドをこなすことができる。「俺は20年近くラスベガスで食ってるんだ」というプロポーカープレイヤーの経験値を1年足らずで追い越す計算となるのだ。以前、木原直哉プロに取材したとき、「オンラインポーカーは、『ドラゴンボール』の精神と時の部屋と一緒です」と語っていたが、まさにそのとおりのスピード感だ。 「仕事が忙しくて、海外トーナメントに参加する時間を捻出するのはたいへんですが、休暇をぜんぶ注ぎ込んでも構わないくらい、モチベーションは高いです。オンラインも楽しいんですけど、やっぱり海外は賞金額も大きいし、独特の緊張感がありますからね」  YAMASHITAさんがマカオで大金を稼いだ白熱のプレイレポートはこちら(http://japanopenpoker.com/archives/16558)の記事を参照してほしい。  さて、ファイナルテーブルもいよいよヘッズアップ(残り2人)となった。東京のBrianさんと浜松のショウさんの一騎打ち。Brianさんには、記者も国内外のトーナメントで何度も煮え湯を飲まされた経験があり、老練なテクニックと読みに裏付けられた実力は折り紙付き。一方のショウさんは若さ溢れるアグレッシブなプレイで、ファイナルテーブルの雰囲気に飲まれることなく、ビッグポットを次々と獲得していた。
JAPAN OPEN POKER TOUR 2014 Season2:Tokyo tour

ヘッズアップは奇しくも“パーカー対決”となった

 数十ハンドに及ぶ捩じ合いが続いた後、ショウさんのオールインをBrianさんがコール。オープンされたハンドは……。 ショウ QJ Brian KT  現状の勝率は約40%でショウさんは不利だが、勝てばBrianさんのチップをカバーしているため優勝が決まる。そして、フロップにQが落ち、そのまま逃げ切りショウさんの優勝が決まった。  3位のyakkiさんを含めた上位3名は、10/31からマカオで行われるアジア最大のポーカー大会、ACOPの2DAYイベントへの参加権を獲得。本戦での活躍を期待したい。 JAPAN OPEN POKER TOUR 2014 Season2:Tokyo tourJAPAN OPEN POKER TOUR 2014 Season2:Tokyo tour <取材・文/スギナミ 写真協力/JAPAN OPEN POKER TOUR>
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