お金

コロナの給付金バブル。いわゆる「街金」の景気にも影響していた?

おじさん

イラスト/青木雄二プロダクション

給付金の申請をコーチングして「副収入」を得る輩も…

 そのうえ、妙な「敵」まで出現しているという。  自身も、ある小さな企業を経営しているMさん(50代)は、「アドバイサー」として知り合いの経営者たちに給付金や助成金についてのコーチングを行っている。 「経営者の中で、そうしたおカネが自分ももらえる、と気が付いてない人があまりにも多いんですね。持続化給付金にしたって、『ウチの会社はもともと売り上げが少ないから、申請しても無理だろう』なんて勝手に考えちゃう。もったいないでしょ」と、妙に明るい声で話す。  Mさんは、まだ持続化給付金を申請していない仕事仲間の経営者やフリーランスの同業者に出くわすと、「去年より売り上げが半分以下になった月が1ヵ月あれば、持続化給付金の申請はすぐに通るよ」とアドバイスして、給付手続きまで手伝っている、という。他の助成金や補助金などでも、受け取れそうなものは「これも申請したら」とアドバイスしているそうだ。 「別に、コーチ料なんて、求めてませんよ。親切心でやっているだけです。でも、法人で200万円、個人事業主で100万円の持続化給付金は、書類がちゃんとそろっていれば、申請からほぼ10日足らずで振り込まれることが多い。指南相手の中には、謝礼として1割ぐらい受け取ってくれ、と無理やり渡す人もいるぐらいです」と語るMさん。公的資金の申請指南が、ある意味、ちょっとした「副業」になっている、というのだ。  実際、Mさんの場合、手広くビジネスを展開して、複数の会社を経営しているため、自身が受け取った持続化給付金の額も1000万円に達している、とか。まさに減りつつあるマチ金の「顧客」をさらに減らしているのがこうした人たちなのだ。  前出のマチ金業者・Cさんは「いつも、年末になると、緊急の資金需要が増えて、僕らも大忙しになるんですよ。その頃になれば、ウチにもお客さん回ってくるんじゃないか、と期待はしてます。さすがに給付金だけでは回らないでしょうし。それまでに、こっちがダメにならないようにしなくちゃいけない」と、危機感たっぷりだった。

持続化給付金など公的支援はぜひ活用すべき!

 企業再生ドクター・大和竜一氏の回答はこうだ。  まず、売り上げが落ち込み、コロナ不況で苦しんでいる方々は、法人経営者なら社員があなた一人しかいなくても最大200万円、個人事業主なら最大100万円の持続化給付金を受け取ることができます。必要なのは、税務署の受付印のある2019年度の確定申告書の写しや前年の売上高がわかる法人事業概況説明書など。  2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、前年に比べて売り上げが50%以上、減ってしまったことを示した売上台帳も必要です。  しかし、売り上げが減った月をたった1ヵ月だけ申請すればOKなので、要件を満たす法人、個人はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。  個人事業主の中には、当然、フリーターも含まれますし、副業でビジネスをしている方も対象になっているようです。要件に当てはまらないのに申請するのは法律違反になりますが、コロナで苦しんでいる方々には、「天の恵み」ともいえるお金ですので、ぜひ申請したほうがいいでしょう。  むろん、もともと新型コロナウイルスの影響で売り上げが減少してしまった店舗や会社が、持続化給付金や緊急小口融資、公的金融機関からの貸し出しだけで、果たして来年まで資金繰りが持つかどうか、といえば、残念ながら「持たない」のではないでしょうか。法定利息ぎりぎりの貸金業者はともかく、年末や来年に向けた資金繰りのため、取引している、まっとうな金融機関との関係はしっかり温存しておいたほうがいいでしょう。
(やまと りょういち)中小企業再生ドクター。足利銀行にて温泉旅館の再建に従事し、ソフトバンク・インベストメント株式会社(現SBIホールディングス株式会社)にて数々のM&AおよびIPOを主導。その後、ホテル、上場外食企業、地方中堅デベロッパー、地方の老舗酒造メーカーなどで経営再建に従事。新型コロナウイルス問題発生当初は首都圏の中堅美容室グループのマネジメントとして様々な対応を主導。現在は、関西地方の中堅の自転車部品製造メーカーの代表取締役社長に就任。最新刊『コロナ大不況で「経済死」しないための本』(扶桑社刊)

コロナ大不況で「経済死」しないための本

コロナと戦うすべての中小・零細企業経営者・個人事業主、そして、そこで働く従業員の方々、すべてにぜひ読んでいたたきたい「コロナで経済死」しないための本です!
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