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「沖縄がオイシイ」は闇社会の合言葉に…助成金の不正受給が横行するワケ

沖縄 新型コロナウィルスの経済支援の目玉とも言われた持続化給付金を巡って、不正受給が社会問題化していることはご存じのことだろう。その手口についてはここでは触れないが、申請代行と称して手数料を取る不埒な輩どもが全国で増えている。

地元新聞の社員も不正受給に手を染めていた

 中でも沖縄県が不正受給の一番の温床となっており、不正受給総額が少なく見積もっても4億円以上にものぼると地元紙が発表。さらに9月、沖縄県内の2大新聞の1つである沖縄タイムス社の現役社員2人が不正受給を行なっていたことが発覚。政府や米軍に対して批判的な記事が多いことから「反日メディア」とも呼ばれる新聞社の社員が、国の制度を利用して行った不祥事とあって、ネット上では様々な意見が飛び交った。  事態を重く見た沖縄タイムス社は、9月13日に記者会見を開き、同社員2人がどういった経緯で不正受給をするに至ったのかを説明した。まず総務局付40代男性社員は、知人男性から不正申請を持ちかけられ、持続化給付金100万円、緊急小口資金20万円、総合支援資金60万円の計180万円を不正受給。給付金100万円を受け取った際に知人の男性に5万円、税理士事務所に10万円、計15万円の手数料を支払ったという。  もう1人は関連会社タイムス印刷の30代社員であり、先の40代社員の勧誘により、同じ税理士事務所で小口資金20万円を不正に借り入れた。ともに職業欄には虚偽の職種を明記していた。とにかく、この40代の社員は、社内外合わせて何十人と申請の勧誘をしていたという。当然、この2人は懲戒解雇処分となった。  事の発端は那覇市内にある税理士事務所が合計1800件の虚偽申請に関与した疑いがもたれ、事務所など複数の関係先が家宅捜索されたことによるものだった。その中で沖縄タイムス社の人間が不正受給していることが判明したのである。言うまでもなく、今回の一件は氷山の一角であり、こういった不正受給は組織ぐるみで全国的に多発している。

1014億円ものカネが舞う沖縄

 それにしても、なぜ沖縄が全国でも群を抜いて不正受給が多いのだろうか。そのワケを説明するために沖縄振興一括交付金の存在を抜きには語れないだろう。令和2年度の沖縄振興予算が総額3010億円で、その中には沖縄振興一括交付金の1014億が含まれているのだが、この一括交付金が曲者とされているのだ。  一括交付金は平成24年度に創設されて以来、沖縄県が自主的な選択に基づいて事業を実地できるお金として、観光や産業の振興、離島振興や福祉など幅広く活用されている。このカネが魑魅魍魎たちにとっては垂涎の的となっているのだ。  個人事業者以外による助成金、補助金を申請する場合、分野ごとの応募となるのだが、沖縄県内に会社登記していることが基本条件とされる。県内には中小を含めて約6万7000軒の事業所がある。そのうち、従業員がいない、実態のないダミー会社が数十~数百社あるとも言われているのである。また、年間の移住者が1万8000~2万3000人もおり、そのうち半分が1年以内にUターンしていることを考えれば、流動性が非常に高いことがわかる。  今の暴力団は暴対法施行されて以来、年々資金源が枯渇しているため、市井が知る任侠の世界観だけでは生きていけない。国から合法的にカネを取ることが一番だと考えた輩たちは、交付金予算が多く、そして審査が甘い沖縄に目をつけているのだ。そう、沖縄には持続化給付金が始まる以前から、助成金にすがる土壌ができあがっていたと言っても過言ではないのである。
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カネも女も食い物にされる
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