ミミミユ&ユブネインタビュー 年中無休のアイドルと、バーを開いた人
――去年の秋から今年の頭にかけて実施していた、ニューアルバム『ALICE』の制作に向けたクラウドファンディングには1200万円もの支援がありました。
ミミミユ:あれはビックリしました。特にメンバーがそれぞれ私物をリターンするプランはすごい値段だったから、「あれに支援する人いるのかな?」って思っていたんですけど……。
――全メンバー分とも秒で売り切れました。
ミミミユ:想定外だったし、うれしかったです。
ユブネ:もともと設定していた目標金額(300万円)だって「到達するのかなあ?」「大丈夫かな?」という感じだったから、想像以上にたくさんの方が支援してくださったのを見て「もっとがんばろう!」って思えましたし。
私はちょうど300万円を超えたあたりの日にソロのトークイベント(2019年11月25日の「ユブネのYour Girly!! vol.2」)をやっていたから、目標達成の喜びをファンのみなさんと共有できたのもうれしかったです。
――そういうファンの期待がプレッシャーになることは?
ミミミユ:クラウドファンディングの最中に、すでに『ALICE』のデモがどんどん届いていたし、どれも最高だったから、あんまり不安はなかったです。
ユブネ:おカネというわかりやすい形で手渡されたからみなさんの期待の重さをずっしり感じたんですけど、それはすごくうれしいことでもありましたし。音楽活動を続けていく上でおカネはやっぱり大切で。あればそれだけできることが増えるし、いろいろなものをみんなに届けられるから、クラウドファンディングをやった結果、可能性が広がったな、楽しみだな、と思っていました。
――ところが、クラウドファンディング〆切直後、新型コロナによってその「可能性」を制限されてしまいました。
ミミミユ:もともとレイブがなければ生きていけないという暮らしを送っていたので、すごく悲しかったです。
ユブネ:しかも自粛期間が始まったばっかりのころはこんなに長いあいだなにもできなくなるとは思ってなくて。わりとすぐに終息するのかな? と思っていたし、私も去年の3月にメンバーになってからは、生活の全部のことを「MIGMA SHELTERのメンバーであること」「ユブネであること」を前提に考えるようになっていたので、自粛期間は「あれっ? 私ってなんなんだろう」ってなっちゃいました。
――グループ名やステージネームを引っぺがされた、本名のおふたりは自粛期間、なにをなさってました?
ミミミユ:あっ、みー(ミミミユ)はMIGMA SHELTERに入ってから本名の自分としているつもりはほとんどなくて。全人格ミミミユのつもりで生活しているので、「ミミミユじゃなくなっちゃう」「MIGMA SHELTERのメンバーじゃなくなっちゃう」という不安はなかったです。
――じゃあ自粛期間の「ミミミユ」さんはなにをなさっていました?
ミミミユ:あんなにあったレイヴが全然なくなっちゃったので、次レイヴするときに体が鈍ってないように筋トレなど体動かすことをいつもよりいっぱいやってました。
ユブネ:私もずっと踊ってたし、ずっとおうちでMIGMA SHELTERの曲を流してた気がする。自粛期間ではあったけど、アルバムのデモは続々と届いていたので、それを聴いていたし、その中でもすでに振りが付いている曲についてはデモに乗って踊ったりもして。とにかくMIGMA SHELTERを身近に感じたかったので。
――本名のユブネさんはなにをしていました?
ユブネ:自炊する機会が増えたから、めっちゃすごいものを作ったわけではないんだけど、ちょっとお料理をがんばってみたり、お酒が好きだからおうちにバーみたいな空間を作ってみたりしてました。ネットでお酒を買いつつ、一緒にバースプーンとかバーメジャーも手に入れて、いつでも好きなお酒を楽しめるようにしています。
ミミミユ:知らなかった! いいなあ……。呼んでほしい。
ユブネ:遊びに来てよ。メニューもちゃんとあるから。
ミミミユ:ガチじゃん! っていうかメニュー、いる?
ユブネ:時間があったからつい作っちゃった(笑)。
「みんないい子だから、ちゃんと話し合いができるんです」(ミミミユ)
――確かにステージだけに注目しても、3月の大阪・味園ユニバースでの無観客配信レイブから、7月の東京・LIQUIDROOMでの配信レイブまで、ずいぶん時間が空きましたよね。
ユブネ:だからバーが充実することになり……。今度はシェイカーを買う予定ですから(笑)。
ユブネ
――あと、ブラジルさん、レーレさん、タマネさんにも聞いたんですけど、配信レイブって普段のレイブとはけっこう勝手が違ったみたいですね。
ミミミユ:すごいカッコいいカメラワークで撮ってもらったし、音もすごくカッコよかったから、本番のあとアーカイブを観てビックリしたんですけど、(パフォーマンスが)カッコよかったかっていうと……。
ユブネ:うん。7月のレイブはひさしぶりにステージに立てたうれしさや、新曲を歌えた達成感はあったんですけど、生じゃなくて映像だからこその魅せ方や伝え方っていうものがあることにも気付かされました。
レッスンで準備していたことがちゃんとできている部分もあったし、逆に「ダンスはいつも以上に揃えないとカッコ悪い」みたいなレッスンではわからなかった、配信ならではのことを知らされたりもしましたし。
ミミミユ:で、個人個人気付いたことがあったら、みんなでそれを確認し合って次のレッスンまでには直せるようにしています。
――そうやってメンバー間でこまめにディスカッションをするようになったのは配信レイブが始まってから?
ミミミユ: いや、MIGMA SHELTERがデビューしたとき(2017年)からそういう感じだったし、ユブネたちが入って今の体制になってから(2019年)は、それをさらにちゃんとやれるようになった気がします。
――それはリーダー(ミミミユ)の腕によるところ?
ユブネ:そうだと思います。みーちゃんがすごくストイックだから、みんな「リーダーがちゃんとやってるんだから、私たちもちゃんとしなきゃ」って思えるし、そうやってみんなががんばってるから、私が足を引っ張っちゃいけないっていう気持ちになりますから。
ミミミユ:(ニヤニヤしながら)いや、みんながいい子だから、ちゃんと話し合いができてるだけで……。みんな、ありがとう!
ユブネ:どういたしまして(笑)。あとMIGMA SHELTERってダンスの先生がいないんですよ。振り付けの先生はいるんですけど、毎回レッスンのときにダンスを見てくれる人はいなくて。だから自分たちで「ここはこうだよ」「そこはこうしたほうがよくない?」って話し合う環境がナチュラルにできあがっていたんです。
ダンスの先生がいればいたで、またいろんな発見もあるのかもしれないんですけど、みんなが自由に意見を言い合える今のMIGMA SHELTERもいいなと思っています。