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放置空き家ルポ 都内だけでも19万戸!?

足立区空き家 少子高齢化、核家族化、格差社会……日本社会が抱える問題の“終着駅”とも言えるのが「放置空き家」問題だ。2008年の総務省発表によれば、都内の空き家数は75万戸。そのうち賃貸などに用いられず、用途が「その他」になっている数は約19万戸に上る。その大半が「放置空き家」とする専門家もいる。3/13発売の週刊SPA!「東京オンボロ空き家急増の謎を追う」では、東京23区内を中心に、神奈川県、大阪府の「放置空き家」を取材。その中から、本記事では東京都足立区の実態をルポする。

「古い街並みが残る足立区では老朽化した家屋が多く、倒壊の恐れなど非常に危険です。震災以来、区民からの苦情も多くなっています」

 そう話すのは足立区の建築安全課担当者だ。

 足立区では昨年、都内で初めて老朽化した家屋に解体や改修を義務づける条例を制定した。区によると、倒壊などの危険性が高い建物が区内に約1750軒。そのうち特に危険性の高いものが、約60軒あるという。所有者に対して改修などを要請しているが、なかには所有者の割り出しすら困難なケースもある。

「空き家かどうかを確かめるには、担当者が1軒ずつ回り、周辺住民への聞き取りなどから調査するしかありません。しかし、登記簿で所有者は特定できても、死亡していたり、相続者が転居して連絡先がわからないこともあります」

 そんな放置空き家が密集しているエリアとはどのようなところなのか。区が「特に危険」と定める空き家が多く存在する、北千住エリアへ向かった。

 場所はJR北千住駅から徒歩約10分の、宿場町通り商店街。商店と商店の間の狭い路地を奥に進むと、古めかしい小さな家屋が寄り添うように密集していた。門構えは雑草が伸び放題となり、雨戸も閉め切られたままの、空き家とおぼしき物件が目につく。そんな建物の隣家の住人に話を聞いた。

「5年くらい前から空き家になっていますよ。おじいさんが一人で住んでいたんですが、死んで、子供も住んでいないみたいです」

 このように入り組んだ路地にある住居だと、重機も入れず、改修はおろか解体して更地にするのも困難になる。なかには新しく建てられた住宅もあるが、その両隣りは老朽化した空き家という異様な光景が広がっている。

 にも関わらず、裏路地から商店街に戻り店主などに話を聞いてみると、「そんな空き家があるんですか?」という声が多く聞かれた。隣が空き家になっている住人が危惧する一方で、そうではない住民の認知は薄い。地域コミュニケーションの希薄化がそういった状況を生み出しているようだ。

 さらに住宅街の一角に、一目をひく荒れ果てた家屋があった。しかし、隣人に話を聞くと「誰かが出入りしている」という。

「5、6年前に老夫婦がいなくなってから、ずっと空き家だったんです。それが最近になって、人が出入りするようになった。警察もたまに巡回しているみたいだけど、気持ち悪くてしょうがないです」

 地元の不動産業者も「あそこは空き家のはずだ」と話した。

 取材班はドアの外れた玄関から中へ呼びかけたが、反応はなし。異臭が充満し木材やゴミが散乱するなか、なぜか靴箱には何十足もの真新しい靴が。ホームレスが勝手に住み着いたのか、はたまた違法な占有が行われているのか……。

 同区の条例はあくまで家主に対して勧告をするもので、「強制執行はできない」(担当者)という。このような「放置空き家」が、さらに増えるのは必至。行政をはじめ、地域社会、近親者の真剣な取り組みが急務だ。 <取材・文・撮影/週刊SPA!取材班>

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表紙の人/川口春奈

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