仕事

コロナ禍で帰国できない外国人旅行者、ヒッチハイクで旅を続ける

 僕は普段、日雇い派遣などの仕事で稼ぎつつ、時間を見つけてはタイなどの東南アジアを中心に旅してきた。この状況では海外旅行には行けそうにないが、日本国内ならば比較的自由に動けるようになってきている。旅がしたい。でも、社会の底辺で生きる僕にはお金がない。そこで「Uber Eats」の配達で稼ぎながら国内を自転車で旅するという方法をとることにしたのである。

稼げない日が続く…

サミュエル

バカみたいに陽気なフランス人のサミュエル

 旅に出て54日目、僕は神戸にいた。ここに来てすでに4日経っていたが、ここではまだあまりウーバーの配達で稼げていなかった。おととい、昨日と2日連続で人と会っていたからである。が、今日は誰とも会う約束がない。今日こそは丸一日配達してガッツリ稼ごう。そう思っていたのだが……。  ランチタイムに数件の配達を終え、少し休憩をするためにゲストハウスに戻ってきた。共同のリビングでコーヒーを飲んでくつろいでいると、そこにひげ面の欧米人の男がやってきて英語でこう訊いてきた。 「英語は話せる?」 「少しなら」 「携帯がここのWi-Fiに繋がらなくて……」 「見せてみて」  そんなことから会話は始まり、そして気がつくと、彼とお酒を酌み交わしていた。彼がコンビニで買ってきた2リットルの紙パックの日本酒を徳利に入れてレンジで温め、熱燗にして2人でぐびぐびと飲んだ。

ヒッチハイクで旅をするフランス人

 彼の名前はサミュエル。コロナ禍前に地元のフランスからヒッチハイクを主な交通手段として日本までやってきたのだという。 「だけど、今時ヒッチハイクで旅してる人なんていたんだねえ」 「けっこう乗せてくれるものだよ」  彼はそう言って屈託のない笑みを浮かべる。やがてそこに他の宿泊客も何人か加わり、酒宴の様相を呈するようになった。  もちろんこの日はもう配達なんてできるはずもなかった。が、この旅で大切なのは目先のお金を稼ぐことよりもこういった人との出会いである。だからこれでいいのだ。とはいえ、さすがにちょっと旅費のことが心配になりはじめてきていた。
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ココイチのカレーを食べながら
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