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携帯は圏外、車はバッテリー上がり…廃墟探索であわや遭難の危機

雪国じゃなくても12月の山は寒い

 だが、12月は一年でもっとも日没の早い時期。あたりは見る見るうちに暗くなっていき、寒さも増していった。田中さんは上着こそダウンジャケットだったが、中には長袖のロングTシャツ1枚という薄着。ジッとしていると身体が冷えてしまうため、身体を動かしながら暖を取っていたとか。 「雪の降る地方じゃなかったからよかったですけど、それでも山の中なので本当に寒かった。結局、弟が来たのは完全に日が暮れた5時半ごろでしたが、『身体が冷えてると思ったから』と温かい缶コーヒーを持ってきてくれたときは、本当にありがたかった。あの瞬間はいつも憎まれ口を叩いていた可愛げのない弟が天使に見えました(笑)」

無事に下山

 それから林道に停めてあった車のもとに戻り、持ってきてもらった新しいバッテリーに交換。半日ぶりに山から下りることができた。 「このときの友人とはお互い離れた場所に住んでいるため、なかなか飲む機会もないですがたまに会うとやっぱりこの話で盛り上がる。若いころ、散々バカなことをやった仲ですが、この体験に勝るものはない。それだけ自分たちにとっては強烈な思い出なんです」  とはいえ、一歩間違えば遭難してもおかしくなかったはず。いくら後で笑い話になったとしてもこんな経験はしたくないものだ。<TEXT/トシタカマサ>
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。
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