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真冬の北海道をナメていた…野宿をしたら凍死寸前に

 年を重ねて体力の衰えを感じている方も若いころはまだ元気で、多少の無茶も利いたはず。今なら絶対にやらないことをしたという人も多いのではないだろうか。

旅費節約のために無人駅を宿代わりに

テント

写真はイメージです(以下同じ)

「私も大学時代や社会人になりたてのころはよく野宿をしていました。鉄道が好きで旅費を1円でも節約しようと無人駅で寝泊まりしていたんです」  そう懐かしそうに話すのは、鉄鋼メーカーに勤める西岡俊哉さん(仮名・36歳)。でも、駅に泊まることができるのだろうか? 「駅員がいないため、夜中も施錠されないんです。鉄道ファン以外にも夏場なんかは自転車やオートバイで旅している人もよく利用していますよ。もちろん、快適ってほどではないですがベンチがあるから横になれますし、私も旅に出るときは寝袋とその下に敷くマットをいつも荷物に入れていました」  ただし、雨露や風をしのぐことができても冷暖房が完備されているわけではない。特に冬場だと屋内でも気温が下がるため、寒いのが苦手な方は要注意だという。 「夏ならどんなに蒸し暑くても日中ほどではないから寝られますが、真冬の夜は東北・北海道だと気温がマイナスになるのが当たり前。おまけに田舎の秘境駅だと建物も古いのでドアをちゃんと閉めてもすきま風が入ってきて辛いんですよ(苦笑)」  なかでも一番キツかったのは、初めて冬の北海道に訪れた大学2年生の年末年始のこと。現在より路線の数も多く、そんなローカル線を乗り潰すのが目的だった。 「北海道には一週間滞在していましたが時期的に宿泊料金が高かったため、出費を抑えるためにホテルに泊まったのは1日だけ。函館~札幌の移動は当時運行していた『ミッドナイト』という快速の夜行列車を使いましたが、ほかの区間では駅寝(※無人駅に泊まること)で過ごしていました」

真冬の北海道の無人駅は寒すぎて危険?

無人駅

真冬の北海道は地獄のような寒さ

 だが、このシーズンは記録的な暖冬。首都圏で生まれ育った西岡さんにとっては十分厳しい寒さではあったが、それでも耐えられないレベルではなかったそうだ。 「真冬の北海道でも意外となんとかなると思うようになっていましたが、これが大きな誤りでした」  それは北海道滞在5日目の夜のこと。この日の宿代わりに選んだのは、JR石北本線の旧白滝駅(北海道遠軽町)。2016年に廃駅になったが、それまでは秘境駅マニアの間で人気のある駅として知られていた。  しかも、この地域は北海道内でも冬場の積雪量が多く、暖冬のシーズンでも雪がかなり積もっていたとか。それだけに寒さも滞在中もっともキツく、ほとんど眠ることができなかったそうだ。 「屋外に比べれば暖かったですけど、それでも気温はたぶん0度を下回っていたはず。底冷えする寒さとはあんな状態を指すんだろうなって。ずっと冷凍庫の中にいるような気分で、もし携帯カイロを持っていなかったら耐えられなかったでしょうね。北海道の冬を舐め切っていたことを思い知らされました」  さすがに無謀だったと懲りたらしく、これ以降は冬場に雪国で駅寝するのはやめたという。
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鉄道会社は無人駅での寝泊まりを認めているわけではない
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ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。

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