「都道府県魅力度ランキング最下位」から“脱出した”茨城県。躍進を支えた公式YouTubeの登録者数は「全国2位」
新型コロナウイルスによる行動制限が解除されてから、1年半ほど経った。閑古鳥が鳴いていた各地の観光地もかつての賑わいを取り戻している。
毎年、発表されるたびに大きな話題となる「都道府県魅力度ランキング」でも、「観光資源の豊富さ」が順位に大きく影響しているはず。
さて、2024年の同ランキングにおいて注目したいのが、前年最下位に甘んじていた茨城県が45位にランクアップしたことだ。同県は15年連続で最下位だった「観光意欲度」の項目でも46位となっている。他県民からするとわずかな差かもしれまいが、当事者からすると“大きな一歩”であるはずだ。
茨城県はこれまで何を思い、どんな活動をしてきたのか――魅力発信を担当する県庁のプロモーションチームリーダーの菊池克実氏に話を聞いた。菊池氏が現職の直前に所属していたのが、まさに観光セクション。県内をくまなく歩き回って、地域の人々と新しい魅力を創り出す仕事をしていたそうだ。
茨城の人気観光地のひとつが常陸太田市の竜神大吊橋。長さは375メートルに及び、水面からの高さは100メートルという巨大な橋だ。大自然のど真ん中に架けられているため、季節ごとの絶景が楽しめるスポット。しかし、観光資源の最大活用の面からみると課題はあった。
「これまで竜神大吊橋は日中に見て帰るスポットで、夜には人が来ない場所でした。夜のマネタイズの意識がないので、消費といってもせいぜい『缶コーヒー』くらいになってしまいます」(菊池氏、以下同じ)
とはいえ、絶景がウリの吊橋。夜に人が来ないのも仕方がないように思えるが。
「常陸太田市役所の皆さんと何度か話をする中で、静寂で神秘的な雰囲気に包まれるなかで、ものすごくキレイな星空が広がっているという話が出たんです。『夜は何もない』ではなく『むしろ夜がいいんじゃないか』と」
夜は施設を閉めるものだという固定観念から、今まで見過ごされてきた、“夜だからこその見どころ”が発見された瞬間だった。これに一捻りを加えて売り出すことにする。
「市役所の皆さんがすごい熱量があって。本当は夜に施設を開けると施設管理の面でいくつも課題があるんですが、それ程時間をかけずに、橋の上にコタツを置いて星空を見ながら食事ができるようにしました。この地域の名物である『けんちんそば』や『蕎麦焼酎』を楽しんでいただく企画で、他にはない人気コンテンツになったんです。嬉しいことにテレビでの紹介も多く、アニメ『サザエさん』のオープニング(2023年10月〜2023年12月)でも紹介されています」
徐々に茨城の魅力が全国に伝播し、最下位脱出という成果にも結びついたのだろう。ただ、菊池氏は「ランクアップ自体はいいことですが、私たちは、都道府県魅力度ランキングを向上させることを目的としているわけではありません」と主張。では、菊池氏の牽引するプロモーションチームはどんな思いで活動しているのか。
「私の所属する『営業戦略部』は、大井川和彦知事(2017年9月〜現職)が就任後 に立ち上げたセクションです。人口が減るトレンドは変えられないなかで、手をこまねいていれば県内の経済も小さくなっていく……。私たちは、どうすれば外から人とお金を呼び込み、県内にプラスの効果をもたらせるのかを常に考え続けています。観光や特産品などの分野で新しい価値や魅力を生み出すことと、それらを攻めの姿勢でインパクトにある形で県外に発信していくことを両輪で進めることを心掛けています」
「何もなかった場所」が人気の観光地になるまで
「ランキングを意識した活動」ではない
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。
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