妻や子供との思い出も。日本酒のラベルに書かれたポエムの意味、製造者を直撃
4月上旬、Twitter上に投稿されたある写真が大きな反響を呼んだ。その写真は酒瓶の裏貼り(ラベル)を映したものなのだが、そこには以下のようなポエムが綴られていたのだ。
<尊敬する上野教授は、PCの電源の入れ方も分からなかった。しかし、PCが何が出来、誰が何が出来るかを把握していた。『立川、これの概略図を作っておいてくれ! 中西、これをグラフにしておいてくれ!』「先生、私は何を?」『杉原は…。美味しいコーヒーの入れ方検索して、コーヒーを入れてくれ!』「はい!喜んで!」先生、今は日本酒造ってます。まだ、天国には行けませんが、いつか、一緒に飲んでやって下さい。慶樹>
詳しい背景は分からないにしても、妙に引き込まれる文章だ。話題になった裏貼りは、杉原酒造株式会社が製造している「射美」という商品に貼りつけられていた。そこで今回は、「射美」の製造者で裏貼りにもその名が書かれていた杉原慶樹さんを直撃してみた。
杉原酒造は岐阜県揖斐郡大野町にある酒蔵で、日本酒の製造のほか、小売部で販売も行っている。明治時代の1892年に創業し、来年で130周年を迎えるとその歴史は深い。慶樹さんはその5代目の跡取りで、現在の代表取締役の息子にあたる。
今回話題になった裏貼りは、いつ頃から商品に貼られているのだろうか。
「『射美』は13年くらい前に発売したのですが、発売当初から裏貼りでは商品に関することや日記を書いています。
『射美』は弊社の小売部で販売しておらず、今は全国で28店ほどの酒販店のみで販売させていただいています。そうなると私が店頭で直接販売し、お客様と顔を合わせる機会はないので、製造者の顔が見えればいいな、という思いで貼りつけ始めました」
なるほど、あのポエムは顔の見えない消費者に向けた挨拶代わりだったのか。
裏貼りに綴られているエピソードは全て慶樹さんが体験したもので、その種類は無数に存在するという。
「裏貼りの文章は『射美』が完成してから書くんですが、時間があればできるだけ日記を書くようにしていて、一升瓶にも四合瓶にも書いているので、もう数限りないと思います」
不思議なポエムが書かれた理由は“製造者の顔を見せるため”
エピソードの多彩なバリエーション
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