仕事

「天職」を見つけたい人へ。自分の夢より“他人の評価”がアテになる

いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第257回
佐々木

写真はイメージです

「自分の天職」はなに?

 就職や転職の際に向き合うことになるのが「自分の天職」です。自分にはどんな仕事が向いているのか。自分は何が得意なのか。実際に頭を悩ませたことがある人も多いと思います。 「自分の天職を見つけにくい」のには理由があります。それは「自分が得意なことは自分にとって当たり前に感じるから」です。特に深く考えず、何気なく取った行動や発言が、周囲からは「どうしてそんなことができるのか」「どうしてそんなことを思いつけるのか」と驚かれたり、評価されたりする。  こうした「自分にとっては普通で、他人とっては普通ではない部分」こそが天職になるため、自分ではその価値を認められず、もっと価値を感じられる何かを探したり、学んだりしようとしがちです。

自分では意外と気づかない

 たとえば「人生相談」を仕事にしている私の場合、10代後半から20代にかけて誰かと話していて、自分なりの意見を伝えた時に、「その発想はなかった」と驚かれたりすることがよくありました。ただ、その時は「いや、普通に考えればわかることだろう」と感じて、その価値をまったく認められず、ひたすら小説家という自分の夢を追いかけていました。  しかしその夢を諦めて、好きなことややりたいことではなく、「自分にできること」について考えた時に、誰かにアドバイスした時に喜ばれていたことを思い出し、「自己啓発をベースにした人生相談」を始めました。  この仕事は想像以上に好評で、その相談内容をまとめた『人生を変えるマインドレコーディング 』という本まで出版できました。小説家ではありませんが、作家になることまで出来たのです。  もし、あの頃の小説家を目指していた自分に、「お前は将来、人生相談を仕事にして本を出すぞ」と言っても、到底信じることはできなかったと思います。しかし、この小説家を目指していた期間も友人や知人の話にアドバイスをして、感謝されたり喜ばれたりしていました。このように自分の得意なことは自覚するのが難しく、時間がかかります。  この自覚の難しさは、ことわざで言う「灯台下暗し」であり、童話の「青い鳥」です。灯台は遠くの海面を照らすことができますが、灯台自身の足元は暗くて見えにくくなっています。  またチルチルとミチルの兄妹は「幸せの青い鳥」を追い求めてさまざな場所を訪れますが、結局見つからず自宅に戻ったところ、部屋に置かれた鳥かごの中に青い羽根を見つけます。ことわざや童話が語り継がれてきたのは、その内容が人間の内面を正しく描写しているからです。
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他人との接点によって自分を見つける
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