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なんでもかんでも文字で確認したがる日本人の習性

神聖な国旗に寄せ書き、問題にならない理由

 で、じゃあ、日本人にとっては、見た目はすごく大切なのかというと、例えば「国旗に文字書いちゃうもんね」問題があります。 「国旗は神聖である」なんて言われながら、戦争中、みんな国旗に寄せ書きをしたわけです。  日の丸の周りに、びっしりと、「武運長久」だの「七生報国」だの書いてます。  これは「神聖な国旗に神聖な文字だ」と言えるかもしれませんが、なかには、「お元気で 山田花子」なんて書き込みも普通にあります。  神聖な国旗に書く、神聖な文字ではないですよね。

あいまいな領域があって、そこを生きることの方が大切

 でも、それを誰も問題にしないわけです。  不思議ですねえ。でも、この不思議さというか、おおらかさが僕は大好きなわけです。  だからこそ、ちょっと前にツイートしてバズりにバズった「表記の統一」問題なんかは、あきらかに「日本文化の良さ」から逆行していると思っているのです。  厳密にする方が楽なのは、間違いないです。  校則もそうですが、「華美なリボンは禁止する」よりも「色は、黒、茶のみ。幅は2センチ以下」なんて書く方が「なんだか正しい」みたいな思い込みを持つ人が多いんじゃないかと思います。  世界を明確に分けて、「白」と「黒」しかないと思うのはつまらないと思います。  その間に政治なら「立ち往生」、文化なら「のほほん」、美意識なら「きもかわいい」なんてあいまいな領域があって、そこを生きることの方が大切だと思うのです。  さて、突然ですが、来週で僕の連載はお終いです。1994年12月から始まって27年。お世話になりました。
ドン・キホーテ 笑う! (ドン・キホーテのピアス19)

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