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pato「おっさんは二度死ぬ」復活!  キンタマの痛みに耐えながら第二章開始

医師からの力強い蔑みの目

 つまり、どれだけキンタマが腫れたのか、大きさで表すのか、面積で表すのか、体積で表すのか、そこを明確に使い分けなくてはならない。なんとなく、体積で表す方が緊急度が良く伝わっていいと思う。  今は簡単に説明するために2倍としたが、さすがにそこまでではない。こんなこともあろうかと病院に来る前にノギスで測定しておいたが、正常な右のキンタマの直径が45mmに対して、腫れている左のキンタマが71mmであった。つまりキンタマは実に1.578倍に腫れている。  ただしこれは大きさの話であってキンタマの面積としては1.5781×1.578=2.490倍であるし、体積としては1.5781×1.578×1.578=3.929倍になっている。そう、3.929倍なのだ。正確にいえばキンタマは3.929倍に腫れているのだ!  「左のキンタマが3.929倍に腫れていまして」  力強く医師に宣言する。  「は?」  僕はこれほどに力強い「は?」を聞いたことがなかった。  「いや、睾丸は球体なんで」  「は?」  僕はこれほどまでに力強い「なんだこいつ」という瞳を見たことがない。

それはまるで中世の拷問であった

 結局、それが良くなかったのか、その後の診察では、歩いた振動で身悶えるほどのキンタマをグリグリと執拗にやられ、この世にこういう激痛ってあるのか、これ中世の拷問だろ、というレベルの激痛を与えられた。僕の断末魔の悲鳴が診察室に響いた。  「前立腺のほうも確認せにゃならん」  医師はそういってアナルにも指を入れられ、内臓を掻き出すおつもり? と言いたくなるレベルで奥まで突っ込まれ、また断末魔の悲鳴がこだました。  さらにまたキンタマにもどり、グリグリされ、今度はちょっと強めにやられたので気絶するレベルの痛みで、本当に殺されるかと思った。軍部の拷問ってこんな感じなのだと思った。そしてグリグリやられながら質問される。  「さっきのやつとこっちどっちが痛い?」  「ギャー! こっちのほうが痛いです!」  「どれくらい?」  「3.929倍くらいです。ぎゃー!」  と訳の分からないやり取りが展開されていた。  そんなこんなで、様々な検査などを経て、どうやら雑菌が入ったことにより睾丸の横の副睾丸というところが炎症を起こして腫れていた副睾丸炎という症状だったようです。正確には、おキンタマでも、睾丸でもなく、副睾丸が腫れた、と表現すべきでした。  体調を悪くして連載を停止し、キンタマを腫らして帰ってくる。そんなこんなで連載再開です。みなさん、どうぞよろしく。
テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――

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