ロバート・秋山「結局一番おもしろいのは、練習中に思わず吹いちゃうネタ」
お笑いトリオ・ロバートの秋山竜次が、様々なクリエイターになりきり、インタビューに答える「クリエイターズ・ファイル」。フリーペーパーから始まり、YouTubeや書籍などで展開されてきた本企画の新作『クリエイターズ・ファイル GOLD』がNetflixにて、6月3日より全世界独占配信された。
本作の見どころに加えて、様々なネタを生み出す観察眼やアイデアをネタにするまでの思考の過程などを語ってもらった。
――今回は『GOLD』ということでゲストやセットが豪華ですね。
ネームバリューがある人と共演するとき、いままでテレビで多かったのが“接待芸”になっちゃうパターン。自分の面白さがあんまり出せずに、向こうを面白くしてあげるだけになりがちなんですよ。
「クリエイターズ・ファイル」のファンの方は、チープななかでの遊びとか、エキストラさんが謎にクオリティが高いとか、そのあたりを面白がってくれてると思うので、ゲストを入れて、いつもの方が面白いじゃんって言われないようには気をつけましたね。
今回は、このふざけた世界観を当たり前のように受け止めて、アドリブにのっかってくれる人たちと一緒にできたので、ありがたいですね。
たとえば中尾彬さん、池波志乃さんご夫婦は、完成品を見て笑っちゃいましたもん。コメントもほぼアドリブで全て自然に言ってくれる。あれは台本がある芝居だとなかなか出来ないと思います。
永野芽郁さんも最高でしたね。「透明感がありすぎて見えない」っていう清純派女優・藤原采(ふじわら・さい)のマブダチ役は、透明感がないと成立しないので。
やりとりもほぼアドリブなんですけど、全部のっかってくれたうえに、なんならこっちが「やべえ、なんて返そうかな」って思う瞬間もありましたよ。
――台本がないとのことで、事前の打ち合わせはどのように進めるんですか?
本当に台本がないので、なんとなく「秋山がこういう感じのことを言ってくると思いますので…」って説明だけで進んでるから、共演してくださったみなさんには感謝しかないです、本当に。もともとよくわからないところに、さらに突然全然違うことを言い出したりもするので。
特に横浜流星さんの回は、ぶっちゃけ当日の朝までなにも決めてなかったんですよ。でも撮影現場のホテルとエキストラさんたちは抑えてある。朝に現場近くのルノアールで、久々に焦りましたね。やべえ、なにも考えてねえなって。でも大丈夫だろうって感じでホテルに入って、やりながらなんとなく進めていきました。
結果的に、完成したら関係者の方からは面白いって反響だったので良かったです。今回のラインナップの中でも主力といえる出来だと思います。ただ正直、横浜さんみたいなプロの俳優さんを交ぜてやるような遊びじゃないから、よくついてきてくれましたねって感じです。
――架空の世界を作るにあたって、秋山さんが日常で感じる“あるある”をフックにしているのでしょうか。例えば、永野さんが出演している回では、航空会社社長の謎ポエムが挟まっているとか。
あれが確かに、あるあるかもしれないですね。大成功した社長の言葉って、なにを言ってるかわからないことが多いじゃないですか。だいたい田舎のおっかあの話をして、「ひもじい」って言葉が出がちなイメージがある。この時代にそのエピソードは響かねえだろう、みたいな。そのイメージを元におふざけをした感じです。
TORIMAKI(トリマキ)サービスの話でも、芸能界って芸能人のまわりに“取り巻き”がいるよなって、昔から思ってて。メイク、スタイリスト、マネージャーはわかるけど、その後ろの派手なヤツ、誰? みたいな。明らかに現場でいちばん派手だけど、ただただなにをしてるかはわからない人っているじゃないですか。
そのイメージから、取り巻きの人って普段なにをしてるんだろう? もしかして取り巻きの専門学校を作ってるんじゃないか…? って遊ぶんです。中身でふざけるぶん、見た目には相当こだわってますね。本当はいるはずないキャラクターでも、扮装してみると、こういう人いそうだよね…っていうか本当にいる!? って感じになっちゃうんですよ、毎回。
清純派女優・藤原采の回でも、正直、撮影中に僕が永野さんの横にいれば、ただのおっさんなんですよ。42歳のおっさんのなにが透明感だって話ですから。
それでも、一流のカメラマン、メイク、スタイリストのみなさんになんとかカバーしてもらって、奇跡的な数秒を探す。そのつなぎ合わせでなんとか成立させてます。
――なんらかの人物に扮する際に、老若男女、性別も年代も関係なくさまざまなキャラクターをやっていますよね。ジェンダーレスでエイジレス。実は時代の先を行っていたのではと感じるのですが、そういった意識はなかったですか?
面白そうなことをやってただけかな。ただ、男なのに女の格好をするのはどうなの? みたいな感覚はないですね。この扮装、面白そうだな。やってみてえなっていう気持ち重視です。
こんな体型のヤツがパリコレのモデル、できないかな? ってところから始まったのが、パリコレNo.1モデルのダルタニアンで。
いや、できるわけねえだろ! …でも待てよ、黒くえぐってペイントして、黒い布の前だけ仕事するならいけるんじゃないかって考える。それで扮装してみると、意外と見えちゃうんですよね。いかに面白いかっていうことしか考えてないと思います。
横浜流星の出演回は、当日の朝までノープランだった
「クリエイターズ・ファイル」は、実は時代の先を行っている?
1
2
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ