更新日:2021年09月23日 16:37
エンタメ

ネットで出会った霊感系美女におかした僕の失敗「これワシの…」

いや僕は霊能者じゃないんだが……

「わたしはいったい、何を見たんでしょう」  この相談に対して言えることは、「なぜ僕に相談したのだろう」という点だ。僕は別に悪霊退治とか除霊とかそういったものを生業にしているわけではない。アカウントの説明に「霊でお困りの際はご相談を!」と書いているわけでもない。ただインターネットで文章を書いているだけのおっさんだ。なぜ、霊のことを相談しようと思ったのか。なぜ、答えが得られると思ったのか。不思議でならない。 「でもまあ、気のせいとか目の錯覚じゃないですか」  そう返答した。やはり非科学的なことをあまり信じることはできないからだ。すると、その返答を受けて相談者がちょっと怒り出した。 「絶対に目の錯覚じゃない。あれは絶対に霊だ。見てもないのに決めつけるなんてそれでも霊能者ですか!?」  みたいなトーンのことを言われた。霊能者じゃない。逆になんで霊能者だと思ったんだ。 「絶対に行ってみたら考えが変わりますから。見えなくなった今でもあそこだけ雰囲気がおかしい」 「じゃあ行ってみましょうよ」  そんなやりとりを経て、じゃあ新宿で落ち合ってその場所に行ってみよう、ということになったのだ。

美女と会う前におっさんが気を付けておくべきこと

 あまりにもとんとん拍子に事が進むので、こりゃあ新手の詐欺かもしれないぞと警戒した。その人のアカウントをくまなく調べると、けっこうセクシーな感じの女性のようだった。何気ない日常のツイートの中にもセクシーを織り交ぜるような人だった。「青山でおいしいパンケーキを食べました」みたいな写真に太ももが映り込んでいるタイプの人だ。  これは非常に危険だな、そう思った。それは詐欺だとかそういった種類の危険ではない、別の危険があったのだ。  僕は知らない女性に初めて会うときは、その直前までエロ動画を鑑賞することにしている。なぜかというと、男性、特におっさんは理性を失ったときにあらゆる被害に遭いやすくなり、あらゆる迷惑行動をとりうるからだ。  初めて会う美女がめちゃくちゃにセクシーで好みの女性だった場合、理性を失ってしまうから高級毛皮を買わされたり、ラッセンを買わされたり、美人局にあったりするわけだ。理性を失って女性をどこかいかがわしい場所に連れ込もうとしたり、何か性的で迷惑な行動をしたり、そういったことがありえるのだ。それも全て理性を失うから起こることだ。  だから、せめて最後の一線の理性は失わないよう、会う直前までエロ動画を鑑賞し、性的欲求を満たしておくのだ。それが被害に遭わないため、女性に迷惑をかけないためにできるおっさんにできる最低限のことだと思っている。
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テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――


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