エンタメ

ネットで出会った霊感系美女におかした僕の失敗「これワシの…」

そして話は冒頭に戻る

 見ていたエロ動画は、エロビデオに出演するために面接に来ていた奥様が、言葉巧みに誘導されてもう撮っちゃいましょう! みたいになる作品だった。「え、今日は面接だけのはずじゃ」という奥様の戸惑いのセリフが良かった。その後もずっと、快楽に身を委ねながらも「面接だけのはずじゃ」と言っていて最高だった。 「こんにちは」  突如として話しかけられた。まだ約束の時間には10分も早かったけど、目の前には美女がたっていた。相談者だ。  やばいやばい、といそいでスマホをしまい、軽く自己紹介をする。それからすぐに問題の場所に向かって歩き出した。 「最初からなんか違和感があったんです。そこだけすごく冷たいような雰囲気が。真夏でも身震いするくらいそこだけ寒いんです」 「へえ、そうなんですか」 「わたし、いままでそういう経験なかったんですけど、あそこだけは特別です。絶対になにかがある」 「へえ、そうなんですか」 「ある日を境に見えなくなったのが本当に怖くて。誰かに相談しようと思ったらちょうどあなたが目に留まって」 「へえ、そうなんですか」  そんなやり取りを経てついに問題の場所に到達した。そこは喧騒から離れ、静かな住宅街の雰囲気があった。ちょっとした勾配の上り坂になっている細い路地で、道路と空き地とを仕切るフェンスが妙に錆びついていた。 「ああ、ここだけ冷たい、ね、冷たいでしょ。寒い」

どうしよう、何も感じない

 彼女がそう言うけど、季節は梅雨の真っただ中、けっこう蒸し暑かったし、ここまで歩いてきたことで汗がドボドボ流れ出ていた。早い話、めちゃくちゃ暑かった。 「そ、そうですね、ちょっとヒンヤリとした雰囲気が」  彼女の迫力がただごとではないので、ドボドボ汗を流しながら「ヒンヤリとした雰囲気」なんて嘘8000なことを口にする始末。  どうしよう、何も感じない。何か感じなくちゃまずいんじゃないだろうか。嘘でもいいからなにか禍々しいものを感じますとか言っておいた方がいいのだろうか。 「なにか事件や事故があった場所なのかもしれませんね、ちょっとそのブロック塀に貼ってある住所で検索して調べてみますよ」  とスマホを取り出し、検索しようと画面ロックを外した。 「もう調べつくしました。図書館に行ってこの地区の歴史とかまで調べましたけど、何もなかったです」  あ、そうなのね、とまたスマホをポケットにしまいこむ。  やはりここまで真剣なのだから、彼女としては本当に何かを感じるのだろうと思う。それだけにこちらも何かを感じてあげたいけど、ぜんぜん感じないし、蒸し暑すぎて汗がドボドボ流れ出てくる始末。
次のページ
その時、彼女の様子が豹変し……
1
2
3
4
テキスト アフェリエイト
新Cxenseレコメンドウィジェット
おすすめ記事
おすすめ記事
Cxense媒体横断誘導枠
余白
Pianoアノニマスアンケート