今年6月、選手兼監督に就任した現在の宮﨑選手
圧倒的な身体能力でハンドボール界のエースとして活躍し、ハンドボールの認知度アップにも大きく貢献してきた宮﨑大輔選手(40歳)。日本リーグでは最優秀殊勲賞や最優秀選手賞、新人王など数々のタイトルを獲得し、一時期は世界最高峰であるスペイン1部リーグでも活動するなど、経歴も実に華々しい。
しかし、そんな宮﨑選手にとって2020年は不運続きの年だった。右肩の手術、暴行容疑による逮捕(のちに被害届も出ない事件であったと判明し、不起訴)、新型コロナ感染と、次々と試練に見舞われてしまったのだ。おかげで引退も危ぶまれていたが、2021年6月に新しい動きが。プロバスケットボールBリーグのアースフレンズ東京Zが新設するハンドボールチームの、選手兼監督に就任したのだ。
このニュースで注目すべきは、宮﨑選手が初の監督業に挑戦するということだけでなく、今後も選手を続けていくということ。なぜ宮﨑選手は、40歳を超え、けがというハンデを抱えてもなお、現役を続行する実力とエネルギーを持ち続けることができるのだろうか。その理由のひとつに、2018年から実践している“速読脳トレ”があるという。
スポーツのパフォーマンスに影響を及ぼす“速読脳トレ”とは一体どんなもので、どのような効果を得られるのか? 宮﨑選手に聞いてみた。
「何かを大きく変えなければ」とたどり着いた“速読脳トレ”
宮﨑選手が“速読脳トレ”のトレーニングを開始したのは37歳のとき。長らく離れていた全日本のメンバーに再び入るため、試行錯誤していた時期だという。
「当時は本当に焦っていました。年齢的に選手としてのピークは過ぎているし、なにかを大きく変えなければ現役を続けるのは厳しいと身を持って感じてたので。だから筋トレを強化したりトレーナーに動きを指導してもらったりあれこれ試したんですけど、やはり歳も歳だし、思うように変わらないんですよ。そんななかで、ふと、
7~8年前にテレビ番組の企画で体験した速読脳トレのことを思い出したんです」
一度きりの体験だったものの、「速読脳トレは明らかに何かを変えてくれた」というイメージが残っていたという宮﨑選手。そこで、テレビ番組内で速読脳トレを指導してくれた速読脳トレコンサルタントの呉真由美氏を探し出し、すぐに指導を依頼したのだとか。
「僕の気持ちを伝えたら、呉先生は快く指導を引き受けてくれました。そのときに速読脳トレのメソッドを改めてうかがい、僕も改めて納得して、トレーニングを開始したんです」
「視力が落ちた」「反応が遅くなった」などの悩みが払拭されていった
速読トレーニング=“本を早く読むテクニックを身につけるために行うもの”と思われがちだが、呉氏が確立した速読脳トレのメソッドはそうではない。速読の手法を用いて脳を活性化させ、脳が本来持っている力を十分に発揮できる状態にするためのメソッドなのだとか。
トレーニングの内容はいたって簡単で、基本は目の筋肉をストレッチして視野を広げる訓練をしてから、「大量の文字を読まずに早く見る」ことを繰り返すだけ。
「大量の文字を読まずに早く見る」=脳に大量の情報を早く送り込むことで脳が活性化され、どんどん処理能力が高まっていくという。
定期的にトレーニングを行い脳の処理能力が上がると、たとえば思考スピードや判断力が高まるなどの変化が現れる。すると、スポーツにおいては、
「視界に入ったものの動きにいち早く気づくようになる」「状況を素早く的確に把握し、どう動くべきかを瞬時に判断できるようになる」といったメリットが生まれ、自然とパフォーマンスが向上していくのだ。
「僕の場合、年齢を重ねるにつれて、『動体視力が落ちた』『反応が遅くなった』というパフォーマンスの低下に悩んでいました。試合中だと、『以前だったらフェイントでかわせていたのに捕まえられてしまった』というふうに。でも、トレーニングを始めたら、自分がイメージしているように動けるようになってきて、年齢によるどうしようもなかった悩みがどんどん払拭されていったんです。驚くほど手ごたえを感じましたね」
日本体育大学在学中、スペインへ留学。帰国後、大崎電気に入社、ハンドボール日本代表としてオリンピック選、世界選手権などに出場。2009年には日本人男子初となるアルコベンダス(スペイン1部リーグ)へ移籍。帰国後大崎電気でプレー。 2017年日本リーグフィールドゴール歴代1位(915得点)に到達。2019年3月に大崎電気を退団。4月より日本体育大学に再入学し2021年3月に卒業。
6月プロバスケットボールBリーグのアースフレンズ東京Zが新設するハンドボールチームの、選手兼監督に就任した。1981年6月6日生まれ、大分県出身
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