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サウナに言い伝わる謎の伝説、「69番」に焼き尽くされた僕の話

【おっさんは二度死ぬ 2ndseason】

第8話 -伝説のロストナンバー-

 週末になると必ず行く近所のサウナに「伝説の69番」という言い伝えがある。常連の間でまことしやかに言い伝えられる都市伝説みたいなものだ。 「そういや、最近は69番みねえな」 「おれはあの69番の洗礼を受ける新人(ルーキー)を見るのが楽しみだったんだがねえ」  サウナ内で常連たちがそんな会話をしていた。どうやら古参の間では69番がかなり意味を持つ番号らしい。  その番号はおそらく入店時に店員によって振り分けられるロッカー番号のことを指しているのだろうけど、注意深く観察しているとその伝説と呼ばれる69番を振り分けられる客がいないことに気が付いた。いつでも69番は使われていないのだ。 「もしかしたら完全にロストナンバーになったのかもしれない」 「ついに伝説は伝説のままか」  69番に関するサウナ内の常連たちの会話もどんどんと意味深なものになっていく。いったいなんなんだ、伝説の69番。 「いいや、かならず伝説は復活する。そうだな、来週の水曜日だ。そこできっと復活する」

いにしえのロストナンバー「69」

 サウナの一番奥、その最上段に座していたこのサウナのヌシみたいな老人は、試合前の海南大付属の牧みたいな圧倒的な雰囲気を醸し出してそう言った。すぐにそのヌシの手下みたいなおっさんが反応する。 「水曜日っていうと、ファン感謝デーですか?」 「ああ、そうだ」  このサウナのファン感謝デーは、特定の日にサウナに入ると3回分の無料券が付いてくるというトチ狂った狂気の沙汰みたいなサービスだった。1回分の料金で都合4回は入れるとあって、大挙として客が訪れるカーニバルだ。あまりにも混みあうものだからロッカーが足りなくなるし、サウナ内にも人が入りすぎてサウナの熱気で熱いのか、人が密集しすぎて熱いのか分からなくなるレベルの混雑をみせる。 「ロッカーが足りなくなるくらいの混雑だ。かならずや伝説の69番が復活するであろう」  長老はそう言った。まるで予言者のようだ。 「星、流れるとき、いにしえのロストナンバーが復活する、か……」  手下のセリフももはやわけのわからないことになっていた。古文書の言い伝えみたいになっている。いったいなんなんだ、伝説の69番。
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いよいよ迎えたファン感謝デー。そこで繰り広げられた光景とは
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