お金

日本の管理職に足りないITスキルとは?「業務効率化だけがITじゃない」

DX、ITも根本は「教育」

馬渕磨理 草野隆史馬渕:だからこそ、教育の側面にも力を入れている? 草野:おっしゃる通りです。アサヒグループホールディングスでは、DX戦略の要となる、データ活用人材を育てていく必要があると考えておられます。ブレインパッドでは、ビジネスとデータ分析をつなぐ「ビジネス・アナリスト」の育成プログラムをアサヒグループホールディングスに提供しています。 馬渕:単に、DXツールを提供するだけではなく、企業の人材までも育ててしまう。ちょっと、人が良すぎませんか。 草野:人材を育ててしまえば、ブレインパッドの仕事がなくならないか?って心配ですよね。 馬渕:はい。 草野:日本は残念ながら、そのレベルにないです。圧倒的にデータ活用人材の数が足りてないので、企業側に理解いただいた方が、我々の提供している価値と難しさを理解してもらえる。

アメリカと日本の差とは

馬渕磨理 草野隆史馬渕:確かに、価値を理解してもらえないと値段も適正に把握してもらえない。 草野:そうです。かなり、極端な例を出せば、すごい味音痴の人に、最高級のマグロなんですって言っても。「へえ、マグロはマグロでしょう。冷凍マグロを100円で売ってたよ」とか言われると。「いや、わかんないかな…」となってしまうでしょう(笑) 馬渕:そんなことが、データの分野で起きているとすれば、恐ろしいですね。 草野:そこまで、最悪のケースはほとんどありませんが。それでも、日本全体の底上げが必要であることは間違いありません。ですから、データを扱える企業人材を育てるサポートにはこれからも力を入れていきます。 馬渕:アメリカと比べてどうでしょう。 草野:日本はITのシステムを外注して作るものになっていますが、アメリカは内製化しています。現代において、ITシステムは付加価値を生む領域です。外部に委託すれば、開発ノウハウや狙っている戦略も漏れやすくなるうえ、コストや時間もかかります。ですから、アメリカ企業は内製化を志向するのです。 馬渕:なぜ、こんなに海外との差が生まれたのでしょうか。 草野:日本は主に「守りのIT」で、企業の中の業務効率性のためにITを使っています。一方で、アメリカは、それは当然として、「攻めのIT」としてお客さんへの便利なサービスを提供するためにも使っています。ビジネスにおけるITの重要性に関する認識の違いではないでしょうか?
次のページ
「りそな」との取り組みで、2倍の成果
1
2
3
4
経済アナリスト/一般社団法人 日本金融経済研究所・代表理事。(株)フィスコのシニアアナリストとして日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでベンチャー業界のアナリスト業務を担う。著書『5万円からでも始められる 黒字転換2倍株で勝つ投資術』Twitter@marikomabuchi

記事一覧へ
おすすめ記事