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日本国民は「マトモな野党第一党」を持てるのか/倉山満の政局速報

 立憲民主党に代わる野党として「日本維新の会」が今後成長していくかは、冷静に見守っていく必要があると語る、日本近現代史の専門家である憲政史家・倉山満氏。では、「マトモな野党第一党」はどこにあるのだろうか――(以下、倉山満氏による寄稿)。 【前回の記事】⇒「既得権益の打破」から”既得権益集団”となった日本維新の会/倉山満の政局速報

民主党は無能だったが、その後はもっと無能だった

 自慢じゃないけど、総選挙前から「国民民主党、生き残るよ」と言い続けました。ただし、私が予想した以上に大健闘、今回の総選挙の結果は、大勝利と評価して過言ではない。
たまき雄一郎オフィシャルサイト

(画像:「たまき雄一郎オフィシャルサイト」より)

 話を民主党に遡ります。2009年、当時の民主党は国民の大きな期待で政権を奪取しました。失政続きの自民党に呆れた人々が票を投じました。しかし2012年には「悪夢」「最悪」「自民党の方がマシ」と石もて負われるがごとく政権を追われました。  そして代わった安倍晋三内閣は選挙に負けそうになると、「あの最悪の民主党政権の悪夢に戻していいのか」と有権者を恫喝。遂には憲政史上最長政権となった。それくらい民主党は嫌われた。  確かに、民主党は無能だった。しかし、その後はもっと無能だった。民主党は離合集散を繰り返しながら民進党に衣替えしたけど、「三分の一の議席を目指す!」とか言いながら達成できない、泣きたくなるような惨状となった。

自民党を破る救世主として現れた小池百合子

 そこに救世主として現れたのが小池百合子東京都知事で、都議会議員選挙で安倍自民党を大敗させた。衆議院選挙でも勝ちそうな勢いとなった。そこで民進党は大量合流しようとしたが、小池党首は「排除」を宣言。排除された側が立憲民主党を創設、野党第一党を維持した。一方、希望の党に流れた人々は、多くの経緯があって国民民主党を結成する。  2017年の総選挙の時、立憲民主党は55議席、希望の党は50議席だった。たった5議席でも野党第一党の地位を維持したのは大きい。一方の希望の党はこれまた離合集散を重ね、国民民主党へと継承されていく。  国会運営では、立憲民主党が主導で、共産党や社民党が追随する。常に政権の不祥事を追及する、しかし攻め方はワンパターンを通り越してテンプレなので与党にかすり傷一つ与えない、「いつもの野党」路線だ。国民民主党もこれに追随しなければならなかった。

「野党共闘」など第一党維持のための方便にすぎなかった

 衆議院選挙は小選挙区制である。一つの選挙区から一人しか当選できない。だから野党がバラバラに戦えば、与党が必ず勝つ。ここに野党共闘の必要性が生まれる。  立憲民主党は国民民主党に対し、「併合」を要求してきた。従わねば、共倒れ覚悟で候補者を立てる。  立憲民主党の行動原理は与党に勝つことではない。野党第一党を維持することだ。「野党共闘」など、その為の方便にすぎない。過去の選挙でそうだったのだが、自民党を勝たせてでも裏切り者は潰す。  何かをしでかしてくる前に国民民主党は、「併合」要求を呑んだ。大半の議員だけでなく、事務局も移籍したと聞く。ただし、立憲民主党への入党を良しとしない人たちが残り、国民民主党を維持した。立憲民主党に行かなくても選挙に受かる人たちである。
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立民が持ち直すか、国民へ大量入党するか、運命は来年の夏
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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