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「既得権益の打破」から”既得権益集団”となった日本維新の会/倉山満の政局速報

 立憲民主党に代わって、国民に選択肢を与えてくれる“マトモな野党”はどこか。「第一候補は日本維新の会だが……」と日本近現代史の専門家である憲政史家・倉山満氏は語尾を濁す――(以下、倉山満氏による寄稿)。
松井一郎

(画像:松井一郎氏の公式サイトより)

【前回の記事】⇒政権交代を目指さない“枝野路線”。否定できない野党に未来はない/倉山満の政局速報

立憲民主党に勝つなら今しかない

 今回の衆議院選挙で日本維新の会は11議席から41議席に躍進しました。もっとも、前の11議席がありえないほどの低迷なのですが。  公明党を抜いて第三党。野党第二党になりました。いつもの野党の立憲民主党が100議席を切る惨敗、今しかないぞ!!!と叫びたくなる状況です。  今の衆議院の制度は小選挙区制です。1つの選挙区で1人しか当選できない。だから与党に勝つには野党でまとまるしかない。この原理を最大限に利用したのが枝野幸男、前立憲民主党代表。  他の野党に「お前らは候補者を降ろせ」「自民党が鉄板で勝ち目がない選挙区はお前の方が出せ」と要求。  しかし、立民を野党第一党から引きずりおろせば、それができなくなる。「お前の方こそ降りろ!」と言える。

どうすれば立民を野党第一党から叩き落せるか

 さて、議席数。 立憲民主党  95 日本維新の会 41 国民民主党  11  維新と国民は同盟関係を深めているところ。どうやれば立民を野党第一党から叩き落せるか?  立民から衆議院議員28人が維新に移籍すれば簡単。しかし、それは数字の話で、今の制度では簡単に政党を移籍できない。  ただし、国会には「会派」がある。政党は別でも会派で上回れば、事実上の野党第一党。維新と国民が組めば52。立民の衆議院議員23人が離党、いっしょに会派を組めば第一会派。  この23人という数字が大きい。なんでもいいから、「出てきなよ」と立民にささやけば、一気にあのふざけた党を崩壊させられたかもしれない。

いきなり「同盟国」を挑発し始めた維新・松井一郎代表

 ところが、そんな動きはまるでなかった。投票日、維新の松井一郎代表が「国民民主党と組むなんてふざけた話はない!」とか、いきなり「同盟国」を挑発し始めた。  この人、気でも狂ったかと思ったが、後の状況を見るとそんな話ではなかった。  国民民主党との連携は進めることになったけど、そんなこととは全く関係なく、起こったのが文通費騒動。国会議員には文書交通費があって、1日でも在職すれば満額もらえる。それを当選1回の小野泰輔議員(東京1区)が問題視した。  そらあ、その通りで、自民党や公明党もそうだそうだと応じた。

日本維新の会での国会議員の立場

 ここでやめとけばいいのに、維新の創業者の橋下徹さんが「今の国会議員団は金に汚い」とまで言い出した。  これに同党の足立康史衆議院議員が応戦。延々とツイッターでバトルをしていた。最後は橋下徹さん、「領収書原理主義」としか言いようがない、「領収書は全部公開しろ!」みたいな話で部外者にはまったく興味が持てない、維新の党運営批判を繰り広げていた。「お前なんか国家から消えろ」と言われた足立議員には同情するしかない。  そして橋下さん、「維新の国会議員は大阪市議府議の下だ!」まで言い切った。  唖然……。  よくわからないけど、「身を切る改革」というのがこの党の一丁目一番地らしい。  まあ、「無駄を削れ」「議員はぜいたくするな」はともかく、それが最優先事項?その是非を判断するには、この党の歴史を知らねばならない。  今回、衆議院選挙で大阪は、維新15勝0敗 公明党4勝0敗。自民と立民は選挙区で全敗、自民は2人、立民は比例で1人復活しただけ。有名な辻元清美さんも落選した。
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大阪では、自民と立民を足したって公明に敵わない
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