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NHK『風の向こうへ駆け抜けろ』平手友梨奈が初主演。2か月で騎乗テクを習得

「出来る限り馬のそばにいました」

 撮影開始後の平手は役づくりのため、可能な限り馬と接した。 「瑞穂は幼いころから馬と触れ合ってきた女性なので、私も出来る限り馬のそばにいました。私自身、馬のそばにいるほうが安心できました」(平手)  役柄を自分のものにしようと懸命だった平手。それは、「勝ちたい」と強く願った瑞穂と重なり合う。演じ手としては平手よりずっと先輩で評価も高い中村は平手を高く買う。 「演じていて常に、平手さんに瑞穂を感じ、(自分は緑川の気分にさせられて)『厩舎を大成させなくてはならない』という気持になりました。平手さんの演技はセリフだけじゃないんです」(中村)  今年4月から6月末まで放送されたTBS『ドラゴン桜』での岩崎楓役では圧倒的な目力と存在感を見せたが、それは今回のドラマでも同じようだ。 「今回のドラマは群像劇なので、だから平手さんには向いていました。中村さんのほか、板垣李さんや小沢さん、大地さんらキャラクターの強い人たちが共演陣にそろっている中で、平手さんは存在感で負けていませんでした」(内藤氏)

唯一無二の存在に

 また、平手はオンとオフを切り替えられるタイプらしい。 「平手さんは人見知り。でも撮影現場では監督にアイディアを提案するなど、そういうコミュニケーション力は凄い。平手さんのアイディアで生まれたシーンもある」(中村)  そもそも内藤氏はどうして平手を起用したのか。 「平手さんは自分の思いを届けようとする時、それを素直に伝えられる人。普段は少しおとなしく映りますが、役を演じる時の強い瞬発力は、観ている人の心に刺さります。もともと評価の高い人ですが、その理由は平手さんの瞬発力が生み出す存在感だと思います。理屈じゃない」(内藤氏)  演技一筋でキャリアを重ねたような女優とは違った魅力が平手にはある。撮影現場も取材したが、確かに平手はどこにいても目立った。すぐに居場所が分かった。  平手はどんな女優になるのだろう。比嘉愛未(35)主演の連続テレビ小説『どんど晴れ』(2007年度前期)や綾瀬はるか(36)が主演した大河ドラマ『八重の桜』(2013年)など多くのドラマの制作統括を担当し、数々の女優を見守ってきた内藤氏はこう語る。 「まだ分かりませんが、『誰々に似てる』というタイプにならないことは確かです」(内藤氏)  唯一無二の存在になるということである。  後編が放送される12月25日の翌日は、図らずも競馬の大一番「第66回有馬記念」(中山競馬場)の開催日。一番競馬ムードが日本中で高まる中での放送となる。 <文/高堀冬彦>  
放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「GALAC」前編集委員
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