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“クセの強い”平手友梨奈とムロツヨシのコメディ演技が融和。笑いながら生き方も考えさせられる

何度もおかわりしたくなる弁護士ドラマ

 一話完結で、法律という正義を用いて事件の裏側まで明かす勧善懲悪。何度もおかわりしたくなる。それがドラマ『うちの弁護士は手がかかる』(毎週金曜夜9時〜 フジテレビ系)だ。筆者は毎週、金曜日の夜9時が楽しみで仕方ない。
うちの弁護士は手がかかる

番組公式HPより

 物語の主軸はムロツヨシ演じる蔵前勉が、芸能事務所の元敏腕マネージャーから一転。新人パラリーガルとして奮闘するリーガルエンターテイメントだ。もちろん、「パラリーガルとは何ぞや?」という人や、法律に詳しくない人でも楽しめるのでご安心を。  本作の何が面白いって、ムロツヨシの名芝居っぷりである。さすがGP時間帯(夜9時から11時)初主演。シリアスなシーンからコメディまで、何でもござれ! なのである。映画『銀魂 実写映画シリーズ』やドラマ『今日から俺は!!』と映画『今日から俺は!!劇場版』などを手がけた福田雄一監督と、何度もタッグを組んできただけある。「福田組」には3人の神がいて、「風神・雷神」のムロツヨシと佐藤二朗の後に「竜神」として賀来賢人が加わったという。  監督は「コメディの奇才」で、本作でのムロツヨシのコメディ芝居も秀逸だ。  一例を挙げると、毎話蔵前が繰り出す「言い方」というセリフ。毎回「言い方」のニュアンスが違っていて、笑ってしまう。筆者はいつ出てくるのか、楽しみでワクワク待っている。この言葉は基本的に、クセありありの新人弁護士、天野杏(平手友梨奈)に向けて発せられる。他にも船場吉兆のささやき女将のように天野に耳元でささやく、初代『3年B組金八先生』の武田鉄矢のモノマネをするなど、数え上げればきりがない。「今のコメディ芝居はアドリブも入っていますよね?」と問いたくなる場面がてんこ盛りだ。そして、コメディな芝居が映えるのは、真面目なシーンもきちんと演じてこそだと納得してしまう。

真面目なシーンあってこそ、コメディが映える

 全話にふれるつもりはないが、第一話で筆者が衝撃を受けたエピソードを紹介しよう。芸能マネージャー時代の蔵前がわがままな人気女優・笠原梨乃(吉瀬美智子)に突きつけられた言葉だ。 「あなたの仕事は誰がやっても変わらない」  ドキッとした瞬間、「そうですよね……。自分も同じです」と首をうなだれるしかなかった。自分が今日死んでも、世界は回っていく(だからといって死ぬつもりはないが)。筆者と同じような思いを抱えた人もいたのではないか。  ただ、蔵前の場合は30年間も笠原を支え続けてきたのに、である。ある日突然、そう言われて解雇された。雇用主からの即解雇は法律的にはNGだと本作で描かれていたが、生きるとは? 仕事とは? を瞬時に考えさせられた。  蔵前は元敏腕マネージャーで視聴者から「仕事できすぎ」などと高評価だそうだが、本物のマネージャーも同じだ。担当する芸能人に対して、まめまめしく心身ともにサポートする。間近で見ていて「どうしてそこまで?」と思うほど。筆者には無理だと感じる職業の1つでもある。
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弁護士・平手友梨奈の成長物語も
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うちの・さくら。フリーインタビュアー、ライター。2004年からフリーライターとして活動開始。これまでのインタビュー人数は3800人以上(対象年齢は12歳から80歳)。俳優、ミュージシャン、芸人など第一線で活躍する著名人やビジネス、医療、経済や一般人まで幅広く取材・執筆。趣味はドラマと映画鑑賞、読書

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