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家族との最後の思い出作り…“エンバーミング”で死亡後最長50日間は常温で保全可能

 昨今のコロナ禍で「親の死」が頭をよぎる機会も増えたのではないだろうか。いつかは必ずやってくる別れの前に、今から心がけるべきことは何か? 看取りの現場に携わるプロたちを取材。今回はエンバーマーとして働く新井宏樹氏に話を聞いた。後悔のない親の死を迎える前にすべきこととは?

エンバーミングのおかげで自分の気持ちに区切りをつけるきっかけに

親が死ぬ前にすべきこと

エンバーマー 新井宏樹氏

 遺体に滅菌や防腐処置を施し、時には損傷箇所の修復も行い長期保全できる技法がエンバーミングだ。欧米を中心に発展した技術だが、近年の衛生意識の高まりから、日本でも注目度が高まっている。千葉県の葬儀会社「博全社」でエンバーマーとして働く新井宏樹氏に話を聞いた。 「コロナ禍による面会謝絶で臨終に立ち会えず、言葉をかけられなかったと後悔する人が、せめて火葬までは一緒に過ごしたいと依頼するケースが増えています」  現在、新井氏が所属する博全社では、約7割の遺族がエンバーミングを依頼するという。処置費用は一律15万円だという。

誕生日や結婚記念日を迎えるまで保全も

「処置を行うことで死亡後最長50日間は常温で保全できます。家族で一緒に最後の食事をしたり、友達を呼んで故人が好きだったバーベキューを庭でやるなど、心残りのないお別れのためにさまざまに活用されています。  また、誕生日や結婚記念日を迎えるまで保全したことで、『ちゃんと自分の気持ちに区切りがつけられてよかった』という声もいただきました」
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親が亡くなった後でも、思い出を作りお別れができる
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