更新日:2022年02月09日 18:02
ニュース

「和歌山県がうらやましい」奈良県民がコロナ施策にブチ切れる意外な理由

なぜ奈良県民は怒っているのか?

奈良公園

観光客の姿は少なく、鹿ばかりが目立つ 写真/SPA!編集部

 今月5日から、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う「まん延防止等重点措置」が和歌山県に適用された。近畿圏では京都府、大阪府、兵庫県、三重県、和歌山県がまん延防止となる。そこで「待った」の声とともに怒りをあらわにするのは、まん延防止が要請された他府県に隣接している奈良県民。  奈良といえば先日、荒井県知事が「飲食店の感染リスクは低い」と、改めてまん延防止措置を要請しない考えを示したことが大きな話題となった。この“先進的”ともいえる考えにネットでは「よく言ってくれた!」と称賛の声も上がったが、地元・奈良では真逆のようだ。市内で飲食店を経営する男性に話を聞いた。 「県知事はああいう風に言っていましたが、奈良県民はみんな“自主自粛”しているので客なんて全然来やしません。緊急事態宣言が明けて年末は客足が戻って来たというニュースもありましたが、そんなんどこの話?って感じです。それなら、まん延防止にいっそしてくれて協力金をくれるほうがマシなんです。  でも、荒井さんは『市町村で飲食店に支援したいというところがあれば、どうぞしてください』と各市町村に任せきり。うちは市から1000万円以上の借り入れがあり、すでに返済が始まっているというのに客は来ない、協力金は出ないわで八方塞がりです。正直、和歌山のまん延防止が羨ましいです。なぜ、奈良を近畿他府県と一律にしてくれないんですかね」

越境飲みに対する不満と不安

 男性の不満は他にもある。それは昨年の休業期間中に散々、問題視された県をまたいで飲みに行く「越境飲み」に対してだ。 「先月27日から京都、大阪、兵庫にまん延防止が要請されてから、京都や大阪から奈良に飲みに来る人が増えてきています。飲み屋街でもある新大宮では週末にもなると大阪ナンバーの運転代行をよく見かけますね。県民からは『他府県の人間がコロナを持ち込むのではないか』という不安が広がっています。  僕は第1波のときに感染した経験があって、当時は周囲から『飲食店なんかしているから……』と冷ややかな目で見られました。奈良県民は保守的なので、感染すると地元の目がかなり厳しいんです。そうした風評被害もあるので時短にしたいのですが、県知事は何の保証もしてくれない。県外から客が来ても、渋々迎え入れるしかありませんよね……」  昨年8月、同じように越境飲みの客に悩まされていた和歌山市を取材したとき、『県外のお客様お断り』、『一見様お断り』と貼り紙をしている飲み屋を多く見かけた。  当時、和歌山の仁坂県知事は県外からの観光客の宿泊予約受付を控えるよう施設に要請していたが、奈良県は特に対策はしていない様子。荒井県知事はこの現状をご存知なのだろうか。
次のページ
吉村知事のほうが……
1
2
おすすめ記事