お金

なぜ、日本の義務教育には“お金の授業”がないのか。国民がバカのほうが国にとって都合がいい

日本でお金の教育が進まない原因は?

 僕もこれまで、お金の知識がないがために資産形成はおろか、確定申告をはじめとする納税の知識すら持ち合わせていない人にも出会いました。「国民の義務を怠るとは、けしからん!」と断罪するのは簡単ですが、こういったことが起こるのも、ただ単にお金の教育を受けてこなかったから。そして、親がお金の教育を受けてこなければ、子供にも伝えられない。  為政者にとっては、国民がお金に対してうっすらと“おバカ”であるほど都合がよいものです。給与からいくら天引きされているか無自覚なサラリーマンが多いほど、国はしれっと増税できます。  また日本では古くから「お金=いやしいもの」とされ、そのイメージが根強いのも、お金の教育が進まない一因だと僕は考えています。  でもそれっておかしくないですか?  なにも僕のYouTubeを見てくれた人だけがマネーリテラシーを高められても、世の中を変える根本的な解決策にはなりません。そんな思いがやがて「お金を教育現場に広める」という強い使命感に変わったのです。

「お金=学ぶもの」という意識改革が必要

 では、なぜ僕が「義務教育」にこだわるか。ひとつは、格差拡大を食い止めるためです。今の日本は昔よりもお金の教育が普及していると感じますが、まだ十分とは言えません。結局はお金の知識は親からの教えがメインです。  言い換えればそれは、親のマネーリテラシーを子供は超えられないということです。家庭教育だけに委ねては、格差は拡大しかねません。  なにより義務教育化することで子供たちに「お金は学ぶもの」という意識が浸透していきます。たとえば人が「算数は苦手なんだよね〜」と言えるのは「算数=学ぶもの」という意識があるからです。  でも「お金が苦手なんだよね」と言う人はあまりいません。あらかじめ「お金=学ぶもの」と知っていたら、将来家を買ったり、子供を進学させたり、お金の知識が必要になったときに、改めてお金を正しく学んで、正しく扱うハードルが格段に下がっていく。これが最大の意義だと思うのです。  これまで僕が行った授業では、お金は“道具”であること、お金を「いやしいもの」と誤解しないこと、お金の正しい増やし方、正しい使い方、年金など国の制度概要を伝えてきました。  なにより現場で実感したのは、子供たちは、大人ほどお金に対しての先入観を持っていないことです。子供は純粋です。またお金に明るい大阪では特に反応が大きかったり、卒業後、経済的自立をしなくてはいけない生徒が多い定時制の高校では、ことさら熱心な子が多いなど、地域や学校ごとのリアクションの違いも印象深いものでした。  次回は、実際に僕が行っている授業内容について詳しくお話したいと思います。ではまた! まとめ 1. お金を学ばずに大人になると将来の選択肢が狭くなる 2. 親のマネーリテラシーを子供は超えられない 3. 「お金=学ぶもの」と意識を変えることが重要
’83年生まれ。’17年に独立。YouTube「大河内薫のマネリテ学園」ほかメディア運営多数。8.2万部突破の最新作『貯金すらまともにできていませんが この先ずっとお金に困らない方法を教えてください!』が発売中
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大河内さんに出張授業をしてほしい学校関係者の方はSPA!編集部(qspa@fusosha.co.jp)まで!
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