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完全試合を達成した佐々木朗希「記録とは無縁だと思っていたので、執着はなかった」

大記録を達成した夜は“令和の怪物”も眠れなかった

4月10日、プロ野球史上最年少記録の20歳5か月で完全試合を達成した佐々木朗希投手

4月10日、プロ野球最年少記録の20歳5か月で完全試合を達成した佐々木朗希投手

 さすがの“令和の怪物”も眠りにつくことができなかった。4月10日、ZOZOマリンスタジアムでのバファローズ戦。佐々木朗希投手が完全試合を達成した。1994年の槇原寛己(巨人)以来、28年ぶり。21世紀に入って初めて。令和初の快挙となった。これだけでは終わらない。13者連続奪三振は日本新(メジャーも10者で世界新)。19奪三振はプロ野球最多タイとなった。 「午前4時には目が覚めました。いつもならベッドに入ったらすぐに眠りにつけるのに、眠気がまったくなかった。眠ったのはたぶん2、3時間ぐらい」  偉業達成から一夜明けて午前9時にはグラウンドに姿を現し、入念に身体を動かした佐々木朗希は屈託ない笑顔で寝不足であることを明かした。  試合後はいたって冷静だった。「(完全試合への)執着はなかった」とケロッと話し、「奇跡ですよ」と笑い、周囲からの「もう1回、完全試合を」の呼びかけに「もう大丈夫」と切り返した。そして試合後にメディア対応を行った後、帰路に着く際は普通の20歳の青年に戻り、夕食の選択に悩んでいた。 「きょう、試合前には夜はトンカツをテイクアウトしようとイメージしていたけど、どうしようかな」と言って、困ったように頭をかいた。結果的には「完全試合のご褒美に」と少し贅沢をしてお寿司をテイクアウトし、自室で食べた。

プロ入り初の完投・完封試合が完全試合に

 たくさんのお祝いメッセージが届いた。今までにない数に、凄いことが起きていることを実感した。そして試合の映像を初回から振り返った。佐々木朗希は試合後に必ず投球を振り返り、次回への課題・取り組みを整理する。映像を見ながら、自分がついさっき大観衆の前で披露した異次元のピッチングが遠い世界のことのように感じた。不思議な体験だった。 「映像を見て緊張しました。試合で投げている時はそうでもなかったけど、映像を見ているとドキドキした。最終回は特に。ブルペンでの調子があまりよくなくて、心配していたことを思い出しました」(佐々木朗希)  映像を見直し終わると身体中が熱くなっていた。夜の12時に横になっても目は冴えわたった。マウンドから見えた光景が何度も脳裏を過った。 「ボクは記録とは無縁の人間だと思っていた。諦めていた。今回もどうせできないと思っていたので執着はなかった」  佐々木朗希はこれまで歩んできた道のりを振り返りながら、そう話をした。アマチュア時代も完全試合をしたことはない。プロに入って初めての完投・完封勝利が完全試合となった。
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小学生の時に上がったマウンドでは「打たれた思い出しかないです」
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千葉魂vol.8 マリーンズ挑戦の日々2021

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