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ミュージシャンが薬物にハマる理由は?鎮痛剤が依存の「入口」になるケースも

筆者の体験

   余談ですが、筆者が尿管結石で入院した際、痛みがきついときに強めの鎮痛剤を注射してもらったことがあります。これがただ痛みが消えるだけでなく、本当に気持ちいいのです。眠りに落ちそうで落ちない、トロ〜ンとした時間が永遠に続く感じ。艱難辛苦に天変地異、なんでも許せる気がしてくる。  女性の看護師に「クセになりそう」と言ったら怒られました。つまりは、少なからぬ危険があるということだったのでしょう。  それでも筆者が処方されたのはそこまで強烈な薬剤ではなかったはずですから、依存性は微々たるもの。プリンスやトム・ペティのことを想像すると、ぞっとします。

鎮痛剤依存の恐ろしさ

 実際の痛みを解消した代償として、もっとひどい新たな苦しみが待ち構えている。これが鎮痛剤依存の恐ろしいところで、アメリカでは一般社会にも及ぶ大問題と化しているのですね。  アメリカ疾病予防センターによると、2004年には9091人だったオピオイドの過剰摂取による死亡者が、2016年には42000人超にまでのぼり、2020年4月から2021年4月にはコロナ禍の影響もあり、とうとう10万人を超えました。まさに異常事態なのです。  東部のペンシルベニア州にはゾンビのようにフラフラと歩く中毒患者たちが住む一角が存在し、その様子が動画で拡散されると大変な衝撃が走りました。
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鎮痛剤が薬物依存の「入口」に
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音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。Twitter: @TakayukiIshigu4

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