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ミュージシャンが薬物にハマる理由は?鎮痛剤が依存の「入口」になるケースも

鎮痛剤が薬物依存の「入口」に

 もちろん、鎮痛剤それ自体は病院で処方され、手術や治療で用いられるのですから合法的なものです。しかし、その副作用として得られる“幸福感”が他のドラッグへの入り口となってしまう。死者数が増え続ける要因です。   <オピオイドの中には、モルヒネを原料とするヘロインも含まれる。しかし、ヘロインはその危険性から日米両国で非合法の麻薬とされている。オピオイド問題が深刻になってきた背景には、処方された鎮痛剤が「ゲートウェイドラッグ」になってしまったことがある。すなわち、合法的に処方された鎮痛剤の継続的な摂取によって常習性を生み出してしまい、その結果非合法な方法でオピオイドを入手したり、ヘロインのような非合法な薬物に手を染めたりしてしまう、ということである。> (『アメリカを揺さぶるオピオイド危機①』 山岸敬和(南山大学国際教養学部国際教養学科教授) 笹川平和財団 日米関係インサイト 2018年7月18日)

過酷なステージを全うするため薬物依存に陥る悲劇

 66歳、トム・ペティの体内から検出されたヤバすぎるブツ。アヘンで痛みを紛らわせていたプリンス、57歳。そして、足の手術をきっかけに、決別していたはずの薬物に再び苦しめられる74歳のスティーヴン・タイラー。  連日の過酷なステージを全うするために必要な処置だと思っていたら、知らないうちに薬物の深い沼に落ち込んでいた。  みんなふざけているのでも、サボっているのでも、ズルをしようとしているのでもない。いたって真面目なのです。すでに成功を収め、晩年を迎えながら、なおクオリティを保とうと抗っている。それがより悲痛な悲劇を生んでいるのではないでしょうか。    一連の出来事は、音楽産業が大きな岐路に立たされていることを示唆しているように感じます。   文/石黒隆之
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。Twitter: @TakayukiIshigu4
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