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“粗品の呪い”は本当に存在したのか。元競馬誌編集長が5つのレースで分析する

1番人気馬までもが餌食に

2022年 ヴィクトリアマイル レイパパレ (1番人気12着)  G1ホース5頭が揃った一戦でしたが、強い牡馬と戦ってきたデアリングタクトとレイパパレの2頭が抜けていると判断。休み明けのデアリングタクトの臨戦過程を不安視して、レイパパレが本命になりました。前出の桜花賞や皐月賞は中位人気馬を本命に挙げていますが、この馬は1番人気。実際、前年の大阪杯で三冠馬コントレイル以下を降しており、前走も牡馬相手の大阪杯で2着と、1番人気にふさわしい実績の持ち主でした。  唯一の不安はデビュー2戦目以来となる1600mでしたが、その点に関しても粗品氏は「高速馬場だと心配だが、今の(時計のかかる)馬場なら大丈夫」と言及。タイムトライアルになると、距離短縮馬は追走負けしてしまう懸念があるので、非常に真っ当な指摘です。  レースは、これまたレイパパレがスタート直後に躓き落馬寸前に。その後は盛り返して3番手を進むも、直線で全く伸びを欠き、12着と馬群に沈んでしまいました。実力的に、馬券外に沈む可能性は極めて低いと思われていただけに、ここまでの大敗は不可解。それまで、ネタ要素で語られていた“粗品の呪い”が、いよいよファンの間で「これ、ガチじゃね?」へと変わり始めた一戦でした。

年度代表馬をも沈める“呪い”の威力

2022年 大阪杯 エフフォーリア (1番人気9着)  本命は前年の年度代表馬エフフォーリア。単勝オッズ1.5倍という圧倒的1番人気です。直近10年、前年の年度代表馬が翌年も現役を続けた場合の年明け初戦の成績は3-1-0-0。2012年の年度代表馬ジェンティルドンナこそドバイシーマクラシックで2着に敗れましたが、2015年のモーリスがチャンピオンズマイル1着、2016年のキタサンブラックが大阪杯1着、2018年のアーモンドアイがドバイターフ1着と、残りの3頭は全て勝利を収めています。  しかし蓋を開けてみると、エフフォーリアは道中から本来の行きっぷりがなく、3〜4コーナーで鞍上の手が早々と動き始める始末。直線でも本来の伸びをみせることなく9着に敗れました。勝ったのは、前出の通り、呪いから解放されたポタジェ。  粗品氏自身がYouTubeでも不安視していた「初の関西遠征」、あるいは状態面などが敗因として挙げられていますが、過去の年度代表馬の成績をみても、「それでも能力で克服できるはず」というレベルのもの。「呪いがこの馬を沈めるのか」というインパクトは、このレースが一番でしょう。
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渾身の単勝99万9900円の大勝負はいかに
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馬券攻略誌『競馬王』の元編集長。現在はフリーの編集者・ライターとして「競馬を一生楽しむ」ためのコンテンツ作りに勤しんでいる。
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