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美女に連れて行かれた場所で起きた惨劇。あれはカルト宗教だったのか

【おっさんは二度死ぬ 2nd season】

大学の新入生をカルトが狙う光景

 カルト宗教が話題の昨今、その多くが大学生をターゲットにしてサークルを装い、偽装のサークル活動を通じて洗脳を完了していくと聞いたことがある。大学側は新入生に向けて注意喚起を行い、いかにそういった怪しげな勧誘から引き離すかに躍起になっているそうだ。  そういえば、僕が通っていた大学も、そのように怪しいサークルが話題になったことがあった。もしかしたら、あれはそういったカルト宗教の勧誘だったのかもしれない、そんな体験があったのだ。  もう完膚なきまでにおっさんである僕が大学生の頃なので、かなり昔の話になる。僕が通っていた大学は山の中にある要塞のような大学で、大学しか存在しないといっていいレベルの小さな街にそびえ立っていた。山を切り開いて建てた真新しいだけのキャンパス、人のぬくもりがない街並み、閉鎖的で陰鬱、そんな雰囲気の街で、多くの学生がふさぎ込んでしまうのも理解できる環境にあった。  そのころ、学生の交流パーティーを主催するサークルがキャンパス内で猛威を振るっていた。友達が少なく、交流が少ない学生をパーティーに連れ出して交友関係を広げようというものだったと記憶している。

僕が通っていた大学も例に漏れず、怪しい集団が跋扈していた

 大学しかない街と言っても、大学すぐ下の場所にはちょっとした学生街があって、そこに居酒屋やオシャレなレストランなどがあった。そのなかでもいちばんオシャレなレストランを借り切ってパーティーをやるなど、なかなか豪勢なサークルだったようだ。  それが怪しいサークルだったかどうかは定かではないけれども、それに倣って同じようなサークルが乱立し、目的も「交流」から「英語の勉強会」「国際情勢の勉強会」「聖書の勉強」などと変化していき、パーティーのために貸切る店が普通のレストラン、居酒屋、貸会議室みたいにランクダウンしていき、それに従って、怪しい噂を耳にするようになった。 「行ってみたら怪しい宗教の勧誘だった」 「怪しい水を定期購入させられそうになった」 「夏休みに30日におよぶ合宿に参加するよう言われた」  そういった怪しい噂が広がると同時に、大学当局からも「良く知らない学外のサークルには参加しないように」という注意喚起がなされるようになった。いま思うと大学側の行動はずいぶんと俊敏だったように思う。
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僕に声をかけてきた美女。「俺のこと好きなんだな」と思ったのも束の間……
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テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――


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