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美女に連れて行かれた場所で起きた惨劇。あれはカルト宗教だったのか

学生街から大きく外れた場所にあったパーティー会場

 英会話サークルが指定してきたパーティー会場は、大学近くの学生街から大きく外れた場所にあった。学生街を抜けるとすぐに田園地帯になって、その田園地帯をさらに抜けて山道に入った場所にあるようだった。パーティー会場が辺鄙な場所になるほどその内容が怪しいという法則に則るとかなりの危うさがある会場だった。  しかも、チラシの裏に描かれていた地図がかなりデフォルメされた地図で、おおよその位置は分かるものの、細かい位置が全く分からなかった。こうして現地に来てみてわかる。これは地図としての機能を果たさないほどデフォルメされているものだ。  照りつける夏の日差し、うるさいほど聞こえる蝉の声、夕立でもくるのかムッと湿度が上がった。その中、山道をさ迷い歩く。汗だく、息切れ、あまりの分かりにくさにだんだん腹が立ってきた。  そうこうしていると、携帯電話に着信があった。確か当時は銀色の折り畳みのやつを持っていたと思う。 「なんと、今日は本当に巨乳好きが好きな巨乳が3人も来たぜ、へへっ」  富岡からの報告に心が動揺した。

アヤミちゃんと巨乳サークルとの間で激しく揺れた僕

「巨乳……サークルに……巨乳が……3人も……そんなことがあっていいはずがない……」  その戦勝報告は僕を焦らせるものだった。こちらのサークルに行くことをチョイスしたことが間違いであってはならないのだ。つまり、こちらを選んで良かったという成果が必要となる。単純明快に言うとアヤミちゃんとどうこうなる必要があるのだ。  それには、この難解な地図を解き明かして会場に辿り着かなければならない。焦る気持ちが僕を早足にさせる。それに呼応するように大量の汗が噴き出してきて息切れもひどくなってきた。  山道の先に小さな集落が見えた。もうこの地図をどう解釈してもここに会場があるしかないという場所だった。その中心に佇む公民館みたいな場所だ。急いで駆け寄ると、ある異物が目に留まった。  手前の木にけっこう大きめの斧が刺さっているのである。斧はしっかりと木に食い込んでいるけど、その重みで今にも落ちてきそうだった。おそらく枝を伐採していた爺さんとかが急用を思い出してそのままにしてどこかに行ってしまったんだろうけど、とにかく危険だ。見ると、こんな山道でも「通学路」の表示がある。これは危険だということでいったん斧を引き抜いてそれを手にそのまま会場に向かった。もう時間に遅れているのでとりあえず会場に行き、あとでこの斧を交番に届けようと考えていた。 「へへ、この状況をネイティブに英語で説明したらアヤミちゃんも驚くかな。斧って英語でなんて言うんだっけ、アックスだっけ?」  そう考えながら、ついにパーティー会場となる集会場へ到着した。
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そして、集会場で惨劇が巻き起こった
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テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――


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