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ビキニ姿のバリスタのコーヒー店や大麻専門店も。アメリカの裏風景

安宿が並ぶ「オーロラ」の治安

 アメリカの犯罪組織ドラマにシリーズ化された話題作は多く、読者の中にもおそらくハマった人がいるのではないだろうか? そうした作品のさまざまな取り引き、お楽しみの場所、あるいは隠れ家としてモーテルが登場するが、実際に犯罪の温床となり得るからこそドラマの舞台として成立するというもの。それなりの理由があるのだと想像してみて欲しい。  レンタカーなど車で移動するならまだわかるが、徒歩となる場合、オーロラから各観光名所に行くにはバスを利用することになる。筆者も乗車経験を持つが、気軽にうたた寝できそうにない独特の雰囲気のある客層だ。バス停で待つ間も、スーパーから盗んだショッピングカートに所持品を積んで昼間から路上で寝ている人や、何らかの事情で警察に囲まれている誰かに遭遇するかもしれない。なかなかスリリングな旅となることは確実だ。  日曜大工品がそろう某ホームセンターのチェーン店駐車場も、ここが日本ではないことを実感できるスポット。週末の昼間、ハイヒールに露出度の高い服装の女性たちがゆっくりと歩き回っている。彼女たちのターゲットは、「ホームセンターにひとりで出かける」ことを週末のお約束としている男性たちである。興味深いことに、別の某ホームセンターのチェーン店駐車場には、中南米諸国出身の移民と思われる男性たちが、やはりうろうろしている。それぞれの世界で縄張りがあるのだろうか。

日本人観光客でも行ける!? バリスタがビキニ姿のコーヒー・スタンド

コーヒー・スタンド

一見、普通のコーヒー・スタンドのように見えるが実は…。お金を払う利用者のみ、窓口からバリスタの姿が拝めるシステムだ

 マリファナはアメリカで州によっては合法でも、日本人は日本の大麻取締法により罪に問われる場合がある。また、前述したシアトルのダウンタウンやオーロラの一部は、人通りのある昼間ならまだいいが、夜間は犯罪に巻き込まれないためにも軽々しく近付きたくないゾーンだ。というわけで、最後に日本人観光客でも訪れることができるアメリカらしいスポットを紹介しておこう。  シアトルは、日本でもかつてスターバックスなど「シアトル系コーヒー」ブームを巻き起こしたほど、カフェの街として有名。人ひとりかふたりでいっぱいの小さなボックス型店舗で営業する、ドライブスルー専用のコーヒー・スタンドも多い。そのひとつの形態として、「ビキニ・バリスタ」のいるコーヒー・スタンドがある。  大抵は、わかりやすく店名やロゴに「ビキニ」「ピンク」「レディー」などと入り、あるいはビキニ姿の女性やそのシルエットのイラストが看板に描かれている。コーヒー・スタンドは注文や受け渡しのための窓口があり、そこで初めてバリスタとコミュニケーションを取ることになるが、そのバリスタがビキニもしくは下着姿で接客するというものだ。  メニューは一般のコーヒー・スタンドと変わらず、サービスもまた、それ以上でもそれ以下でもないので過度の期待は禁物だ。癒やしを求める男性はもちろん、女性も興味がてら、または単なるコーヒー・スタンドのひとつとして訪れてもまったく問題はない。ビキニ・バリスタの女性が人気TikTokerとなった事例まであり、シアトルではかなりオープンな存在だ。ちなみに、マッチョな男性バージョンも登場して話題をさらったことがあるが、残念ながらすでに閉店したらしい。  読者の中には、1ドル140円台という歴史的円安と国際線の航空券燃油サーチャージ過去最高値に、海外旅行に出かけたいけれど足踏み状態という方もいることだろう。しかし、大震災、パンデミック、ウクライナ情勢のような有事が起こり得る世の中では、「行ける時に行っておいたほうがいい」という考え方もある。ようやく訪れた海外旅行解禁、アメリカもその旅先の選択肢のひとつだ。実際に住んでみるといろいろあるが、清濁併せ呑むアメリカ文化もまた個性として、日本人旅行者にとって魅力に映って欲しいと思う。 <文・写真/ハントシンガー典子>
アメリカ・シアトル在住。エディター歴20年以上。現地の日系タウン誌編集長職に10年以上。日米のメディアでライフスタイル、トレンド、アート、グルメ、カルチャー、旅、観光、歴史、バイリンガル育児、インタビュー、コミック/イラストエッセイなど、多数の記事を執筆・寄稿する傍ら、米企業ウェブサイトを中心に翻訳・コピーライティング業にも従事。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員
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